【連載】500人のギモン&お悩み徹底解決

患者さんとの世間話の切り上げ方

解説 雨宮惠美

保健・医療・福祉サービス研究会 接遇トレーナー 教育コンサルタント

看護師さんは、患者さんから気軽に話しかけられることが多いもの。患者さんとコミュニケーションを取ることは大切なことですが、その内容がなかなか終わらない世間話だったとき、業務に戻りたいと思ってしまった経験はないでしょうか。
今回は、そんなとき、どう話を切り上げたらいいのかを考えていきます。


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看護師のコミュニケーションとマナー


Q 定期的に通院している顔見知りの患者さんから話しかけられるのですが(世間話)、応じてしまうとなかなか話が終わりません。お互いいやな思いをせずに上手に切り上げる方法はありますか。

A 患者さんを不快にさせずに状況を理解してもらうためには、時には演技が必要な場合もあります。

理由をきちんと伝え不快な気持ちにさせない配慮が必要

 顔見知りの患者さんから話しかけられ、世間話がなかなか終わらないようなときには、ある程度話を聞いたうえで折をみて話を切り上げても構いません。 ただし、その際の一言が大切で「今日はたくさんお話を聞かせてくださってありがとうございます。続きは、後日楽しみにしています」など、相手をがっかりさ せない表現を選ぶことが重要です。

 業務が立て込んでいるような場合は、「今ご案内の方がいらっしゃるので、それが終わってからうかがいます。○分ほどお待ちいただけますか?」と具体的な待ち時間と理由を述べれば、それだけで「今は忙しいんだな」と察する患者さんもいます。また、本当に何か伝えたい内容があるような場合は、その時間内は待ってくれるはずです。
 
 「早急に連絡しなければならないことがある」「治療の介助に入らなければならない」など理由をきちんと伝えることが必要で、場合によっては患者さんを納得させるための方便にもなり得ます。要するに、患者さんに不快な気持ちを抱かせないことがポイントなのです。

医療従事者の“ちょっと待って”は意外と重いもの

 いずれにせよ、「話が聞けなくて申し訳ない」という気持ちを話し方や態度で表現することが大切で、そういう意味では、看護師は時に演技力が求められる職業といえるかもしれません。

 ただし、認知症の患者さんの場合は、時間が経つと忘れてしまうので、その場ではしっかり目を見て、「あとでゆっくり聞かせていただいてよろしいですか」と応対します。ゆっくりと目を見て話しかけることによって満足することも多いようです。

 ここで病院での私の苦い経験をお話しておきましょう。看護師さんに聞きたいことがあり、「ちょっとよろしいですか」と声をかけました。するとその人は、「ちょっと待ってください」と言って、離れていきました。私は彼女を待つ約束をしたという思いから、ほかの方が通りかかっても尋ねずに、ずっと彼女を待っていました。しかし、なかなか彼女は戻って来ません。「病院には病院の辞書がある。『ちょっと待って』は『ほかの人に言って』という意味なのだ」と悟ったのは、ずいぶん待った後のことでした。

 この例から覚えておいてほしいのは、患者さんはできる限り約束を守ろうとするということ。医療従事者が発する「ちょっと待って」はことのほか重いものなのです。

あなたも対応をチェックしよう【外来編】

 ここでは外来での応対のポイントをチェックします。

 外来では初めて来院している患者さんも多く、受診前で不安を感じている人もいます。ですから、その不安が増すことがないような応対が求められます。また、症状が安定していないケースもあることから、その様子や変化を観察する姿勢も大切です。

 - まず、こちらから笑顔であいさつしていますか。
 - 患者さんを呼んだときは「お待たせしました」、診察室を出るときは「お大事になさいませ」と言っていますか。
 - 明らかに具合が悪い患者さんには、臨機応変に対応していますか。

point
 状況に応じて医師に相談し、診察の順番を早めることもあります。その際にはほかの患者さんに説明することが大切です。

 - 処置を行う際、何のために、どういう処置をするのかを説明していますか。「少しチクッとするかもしれませんが、すぐに終わりますので我慢していただけますでしょうか」など、痛みに配慮した声かけも忘れないようにします。
 - 移動があるときの進行方向はきちんと手で示していますか。 手で示すときは手のひらを上にしてかざします。
 - 患者さんの疑問には、積極的に対応していますか。

point
 後から質問が生じることも多いので「もし後でおわかりにならないことがありましたら、○○までお尋ねくださいませ」と一言添えるようにします。

 - 患者さんの名前はフルネームで呼んでいますか。

point
 同時に待っているべき場所も指定すると、不安の軽減にもつながります。

 - 診察後に、次の診察日を明確に伝えていますか。
 - 診察後の手続きを明確に伝えていますか。
 - 治療や処置、検査の手順を詳しく説明していますか。
 - 命令口調でなく、依頼形や疑問形で話していますか。

point
 依頼形や疑問形を使用すると患者さんの意思を尊重した表現になります。そのため患者さんは自己決定権をもつことになり余裕が生まれます。

 次回は、プライベートな質問への受け答えについて考えていきます。

(ナース専科「マガジン」2010年5月号より転載)

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