【連載】初歩からわかる看護研究

Step18【看護研究】言葉の分析法(その2)

監修 富田真佐子

四国大学看護学部看護学科・教授

前回は、収集したデータの逐語録からデータ分析シートをエクセルで作る方法の概要について説明しました。今回は、さらに具体的にその手順を説明します。


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切り取ったデータを解釈し、コード名を付ける

Excelに並べた文章データに名前を付けます。切り取った文章をよく読み、研究疑問「○○とはどのようなものか」を投げかけながら、その答えとしてどんな意味があるのか示すように命名していきます。

【Step18】言葉のデータから答えを作り上げる(その2)の概念枠組みを例にしましょう。

データ分析シート

研究疑問は「認知症の高齢者を介護する配偶者の介護の意味とはどのようなものか」でした。この疑問を常に投げかけ、「答え」を意識しながら文章データに名前を付けていきます。切り取った文章データが、例えば「訳分かんなくなっちゃったけど、案外かわいいと思ったりすることってあるでしょ、お父さん(夫)がふっと優しい笑顔を見せたりしてね。」だとします(図-G列2行目)。この切り取った文章を解釈しましょう。

例えば「認知できなくてもかわいいと思う」「優しい笑顔に愛情を感じる」(図- E列2行目)など、短く箇条書きにしてみます(Excelのセル内で改行するときは「Alt」キーを押しながら「Enter」)。長い解釈文を書いても構いませんが、端的に解釈したほうが分かりやすくなります。

文章を解釈したところでもう一度研究疑問を投げかけます。「認知症の高齢者を介護する配偶者にとって"介護(をすること)の意味"とはどのようなものか?」を意識しながら、例えば「配偶者への愛しみの心」(図-D列2行目)などとコード名を付けます。コード名は体言止めにするとよいでしょう。命名するときは、それぞれ切り取った文章の抽象度ができるだけ同じ程度であるように心がけてください。コード名は同じものを繰り返して付けて構いません。

客観的な視点で解釈し、繰り返し修正する

切り取った文章データ(G列)のコード名は同じ行のD列に書き込みます。入力データの量が増えても「ウィンドウ枠の固定」をしておくと、作業が効率よくできます。

ウィンドウ枠の固定

(1)「表示」タブ、「ウィンドウ」の「ウィンドウ枠の固定」をクリックする。

(2)「先頭行の固定」をクリックする。

ウィンドウ枠の固定 ※ここではExcel2007の操作方法について紹介しています。

切り取った文章を解釈するときに重要なのは、できる限り主観的な視点を取り除き、客観的に解釈するよう努めることです。テーマに関して思い入れが強ければ強いほど、自分の物差しに偏りがちです。ひととおりネーミングが終わったら、必ず指導者など複数の人にみてもらい、そのネーミングが妥当であるか意見をもらいます。

何度か見直しをして、繰り返し修正します。切り取った文章を読んでコード名を確認したり、逆に先にコード名を読んでから文章を読んだりするとコード名が文章に合っているか別の角度から確認することができます。

最初に2~3人分のデータでコード名まで付け終わったら、次の対象者のデータを収集し、同じシートの下の行に追加します。同様に切取った文章データの1つずつにデータ番号とコード名を書き入れます。前の対象者と同じコード名を付けても構いません。

新しい対象者のデータは、異なったコード名が付かなくなるまで追加します。新しいコード名が付かなくなったらこの状態を「飽和」とみなし、データ収集は終了します。

次回も引き続き、データの言葉を分析する方法について説明します。

(「ナース専科マガジン」2010年10月号より転載)

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