「あなただけに話す」と言われたらどうする?
- 公開日: 2012/1/9
患者さんと話しているときに、「あなたにだけ話します」と言われた経験がある人もいるのではないでしょうか。そんなとき、どう対応すればよいのかを考えていきます。
▼看護師のコミュニケーションとマナーについて、まとめて読むならコチラ
看護師のコミュニケーションとマナー
Q. 患者さんから「あなたにだけお話します」と言われ、患者さん自身の背景について話をされたのですが、これは患者情報としてスタッフ間で共有すべきでしょうか。
A. 共有すべき情報であるかどうかを判断し、チームの成熟度と患者さんの理解度から決めるようにします。
まずは共有する必要があるかどうかを判断する
この場合、まずは話を聞いた看護師が「チームで共有することが有益となる情報か否か」を判断する必要があります。具体的には、病気に直結することで あればもちろん共有することが必要で、また家族背景など療養生活と結びつく場合も考慮すべき重要な要素となります。反対に、日常の細々したことや、人の好き嫌いなど、非常に個人的な気持ちの問題であれば、当面共有の必要はないと判断してよいと思います。
共有すべきであると判断した場合、チーム全員がその必要性を理解し、情報を得ている事実について、当人やそこにかかわる人々に悟られないようにしなければなりません。そのためには、チームと各スタッフに高い成熟度が求められ、新人が多いなど職場によっては難しい場合もあると思います。
また、患者さんによっては、話を聞いた看護師が共有する了解を求めてもよいと思います。後日「先日のお話は、ぜひAさんにかかわる看護師で共有したいのですが、どうでしょう。Aさんにとってもよい結果になると思いますが」とこちらの意図を理解してもらえるよう相談すれば、患者さんは「そこまで自分を心配してくれている」と感じ、情報の開示に同意してくれる可能性もあります。
特定のスタッフへの不満であれば自分に置き換えて共有する
まれに患者さんの話の内容が、特定のスタッフについての不満や不快感である場合もあります。それが改善の余地のあるものならば、原因となっている態度や動作、言葉遣いなどを、自分のケースとして置き換え、「こんなふうに言われたので、これから気をつけることにします」など、さり気なく本人に話し、当人の気づきに結びつけることもできます。ただし、患者さんの嫌悪感が強かったり、改善できないと判断されたときは、上司に相談することも必要でしょう。
あなたも対応をチェックしよう【高齢者編】
一般成人よりも身体条件(聴力、視力、会話の理解度、ADL)が低下している高齢者には、臨機応変な対応も必要になります。ここでは高齢者に対する応対についてチェックしましょう。
□ 依頼形、疑問形で話し、本人に選択の余地があるよう配慮していますか
□ わかりやすい言葉で、ゆっくりはっきり話していますか。
point
高齢者は聞き取れていなくても「はい」と返事をしてしまうことがあります。理解を確認しながら話すようにします。
□ 表情を豊かに、身振りを交えて話していますか。
point
聴力が低下していても、表情や身振りで理解を促すことができます。
□ 会話のなかで患者さんに名前で呼びかけていますか。
point
名前を呼びかけることは注意を引きつけることになります。
□ 「おじいちゃん」「おばあちゃん」と呼ばず、相手の名前をきちんと呼んでいますか。
□ 不必要に大きな声で話していませんか。
point
大きな声だと怒っているように聞こえてしまいます。患者さんの状態に応じて、声のトーンを変えたり、耳元で話します。相手がどうしても聞き取れない場合は、筆談を行います。プライバシーに対する配慮は常に必要です。
□ 「ちゃん」呼びはしていませんか。
□ 幼児扱いをしていませんか。
point
本人はもとより、家族や周囲の人にも不快感を与えてしまいます。人生の大先輩として尊厳を大切にした応対が求められます。
□ 受付などで得た情報は、メモして次の人に伝達していますか。
point
高齢の場合特に、何度も同じ説明をすることが容易ではありません。なるべく一度の説明で済むよう配慮します。
(ナース専科「マガジン」2010年5月号より転載)
カテゴリの新着記事
スタッフ・同僚・患者へのリーダーシップ
※「スタッフにも必要なリーダーシップ」以下の閲覧はログイン(登録無料)が必要です。 1. リーダーシップの正体を探る あなたが思うリーダーシップのイメージは? 「リーダーシップ」と聞いて、皆さんはどんなイメージを思い浮かべますか。フランスの画家・ド
アクセスランキング
SIRS(全身性炎症反応症候群)とは?基準は?
*この記事は2016年7月4日に更新しました。 SIRS(全身性炎症反応症候群)について解説します。 SIRS(全身性炎症反応症候群)とは? SIRS(全身性炎症反応...
心電図でみる心室期外収縮(PVC・VPC)の波形・特徴と
心室期外収縮(PVC・VPC)の心電図の特徴と主な症状・治療などについて解説します。 この記事では、解説の際PVCで統一いたします。 【関連記事】 * 心電図で使う略語・用語...
【血液ガス】血液ガス分析とは?基準値や読み方について
血液ガス分析とは?血液ガスの主な基準値 血液ガス分析とは、血中に溶けている気体(酸素や二酸化炭素など)の量を調べる検査です。主に、PaO2、SaO2、PaCO2、HCO3-、pH, ...
人工呼吸器の看護|設定・モード・アラーム対応まとめ
みんなが苦手な人工呼吸器 多くの人が苦手という人工呼吸器。苦手といっても、仕組みがよくわからない人もいれば、換気モードがわからないという人などさまざまではないでしょうか。ここでは、人工呼...
サチュレーション(SpO2)とは? 基準値・意味は?低下
*2019年3月11日改訂 *2017年7月18日改訂 *2021年8月9日改訂 発熱、喘息、肺炎……etc.多くの患者さんが装着しているパルスオキシメータ。 その測定値である...
アプガースコア(アプガー指数)
【関連記事】 ●新生児仮死における低酸素虚血性脳症の重症度分類|Sarnat分類 ●小児救急におけるトリアージと適切なアセスメント ●第1回 無痛分娩の麻酔の適応、方法、禁忌、外来での説...
心電図の基礎知識、基準値(正常値)・異常値、主な異常波形
*2016年9月1日改訂 *2016年12月19日改訂 *2020年4月24日改訂 *2023年7月11日改訂 心電図の基礎知識 心電図とは 心臓には、自ら電気信...
陰部洗浄の目的・手順・観察項目〜根拠がわかる看護技術
*2020年4月16日改訂 関連記事 * おむつ交換のたびに陰部洗浄は必要? * 膀胱留置カテーテル 陰部洗浄・挿入・固定のコツ * 在宅療養におけるオムツ使用と陰部洗浄について知...
吸引(口腔・鼻腔)の看護|気管吸引の目的、手順・方法、コ
*2022年12月8日改訂 *2022年6月7日改訂 *2020年3月23日改訂 *2017年8月15日改訂 *2016年11月18日改訂 ▼関連記事 気管切開とは? 気管切開...
導尿の看護|手順やカテーテルの種類など
導尿とは? 何らかの原因で自力での排尿が困難な場合、尿道口からカテーテルを挿入し、人工的に尿を排出させることを導尿といいます。 【関連記事】 ●持続的導尿とは? 知っておきたいポイント...