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【連載】大切な人を亡くす子どもへのケア

第4回 年齢によって「死」の捉え方は どう違うか(後編)

  • 公開日: 2011/8/9

前編に続き、年齢による親の病気や死の捉え方の違いについて考えていきます。特にかかわりが難しいという声を聞く思春期の子どもたちについて、彼らにはどのように接していくのが望ましいのでしょうか。


思春期の子どもにはかかわりにくい?

子どもというと、どうしても小さな子どもに目が行きがちです。ホスピスや緩和ケア病棟で働く看護師たちからも、「小さな子どもには、かかわりやすい」「子どもたちから話しかけてくれるから、話しやすい」という声をよく聞きます。それは、小さな子どもは時間に余裕があり、病院に来院する機会も多いこと、さらに、子ども自身が看護師という仕事に興味を示すことが多いためもあるでしょう。

ところが、小学校高学年や中学生、高校生の子どもの場合は、学校や部活など、友達を中心に子どもたち自身の社会を形成しているため、病院との接点が小さくなります。

会う機会が少なく、話が続かない

ある病院の看護師Eさんは、入院中の患者さんの中学生の長女があまり病院に来ないため、気になったケースもあったといいます。患者さんに「お子さんは、いつもはどうしてらっしゃるんですか?」と聞くと、「部活で忙しいみたい。高校受験もあるから、勉強も頑張ってもらいたいし、ここ(病院)には来なくていい、って言っているのよ」と話していました。

時折、日曜など休みの日に長女が来院することがあり、その際に、Eさんが「今日は病院に来たんだね」「学校は忙しい?」と話しかけても、「あー」「はい」の返事だけで会話が続かなかったり、逆に、「話しかけようとしても、すぐいなくなってしまう」ということがあり、思春期の子どもへのかかわりづらさを感じるのでした。

「見守っている」ことを子どもに伝える

この事例のように、「学校生活を優先してほしい」と入院している親や家族が考えることが多く、どうしても病院へ面会に訪れる機会が減ってしまいます。また、病院と自宅が離れている場合には、子どもが病院に来る機会は減り、特に、子どもが病気のことを知らされていない場合には、家族に面会する機会はさらに少なくなります。そうすると、Eさんのように看護師側が子どもにかかわろうと思っても、会話が続かなかったり、病棟からすぐにいなくなるなど、小さな子どもと比べると看護師の思春期の子どもとのかかわりが難しい傾向にあります。

このような場合は、あまり焦らないようにしましょう。思春期は、反抗しながら「自我を確立する時期」であるため、子どもたち自身が不安をもち、気持ちが揺れ動いています。もしかすると、この動揺に、子ども自身が戸惑っているのかもしれません。

子ども本人に「あなたの様子をみていること」「気になることがあったら、いつでも相談していいこと」を伝え、何かあった際の受け皿になることも重要です。そのためには、日々子どもの様子を観察したり、チーム内での子どもや家族に関する情報を共有することが大切です。

面会に来る子どもたちの様子に気を配りたい

私たち大人からすると「死んだ人が生き返る」ことはありえませんが、子どもたちはそのような考えを本気で信じることも、子どもの発達という視点からみると、ごく自然なのです。子どもがもつ死の恐怖は、私たち大人がもつものとはまた別のものだともいえるでしょう。

このような「子ども特有の死の理解」について看護師が知った上で、病院に訪れる子どもの表情や様子を観察するなど、大切な人を亡くしたときの子どもの深い悲しみや精神的な影響に配慮したかかわりが、少しでもできるといいと考えています。

(『ナース専科マガジン』2010年7月号より転載)

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