【連載】今度こそ「できる!」血糖コントロール

第5回 こんなときどうする? 低血糖を起こした!

解説 牧田善二

AGE牧田クリニック・院長

糖尿病の患者さんが低血糖を起こしてしまったら?
まずは、その原因は何かをチェックしてみましょう。患者さんが「できない」ことを明確にし、ポイントを押さえて指導することが大切です。


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ケース1 患者さんが低血糖を起こしてしまった!

低血糖を起こした時はこうする!

 低血糖は糖尿病の治療中には頻繁に起こりやすいトラブル。インスリン製剤や経口血糖降下薬による薬物療法を実施している患者さんに起こります。

 患者さんが低血糖を起こしたらすぐに糖質を摂取させます。補給する糖質としては、市販のブドウ糖製剤や角砂糖、糖分(ブドウ糖)の入った飲料水などをお勧めします。

 糖分補給としてイメージするのは、飴やキャラメル、チョコレートなどが多いと思いますが、これらは体内で消化吸収されるまでに時間がかかり、糖の吸収が遅れてしまいます。当クリニックの患者さんの例ですが、グレープフルーツジュースを200ccぐらい飲むのが、血糖が上がり過ぎずによいという声を聞きました。

 また、意識障害などを伴う重症低血糖の場合、病棟で対応できるときは、まずは血糖値を測定して低血糖であることを確認し、医師の指示に従い、50%グルコース注射液20mL以上を静脈内に投与します。その後、意識の回復と血糖値の上昇を確認したら、炭水化物の経口摂取を促します。

 続いては、低血糖の原因と指導法を説明します。

このケースの原因をチェックしよう!

□適切な食事ができていない。
□適切な強度・時間での運動ができていない。
□運動を中断しなければいけない場合を知らない。
□正しい薬物療法が理解・実施できていない。

ポイントを押さえて指導しよう!

 生活状況の変化によって誘発されるのが、低血糖の大きな特徴です。食事時間が遅れた、食事量または炭水化物量の摂取が少なかった、いつもより強く長い運動をした(発症のタイミングは、当日またはその日の夜間、翌日の早朝)、飲酒した、などがその例です。

 また、インスリン製剤や経口血糖降下薬の種類や量を誤ってしまい起こることもあります。同じ経口薬でも、低血糖の危険があるもの(SU薬、速効型インスリン分泌促進薬)と、危険がないもの(ビグアナイド薬、インスリン抵抗性改善薬、α-グルコシダーゼ阻害薬、DPP-4阻害薬)があります。

 前者を服用している患者さんには、自分がどんな薬を服用しているかきちんと理解してもらい、どんな状態で低血糖が起こりやすいか、低血糖が起きたときにどのように対処すればよいかについて、患者さんが納得できるまでしっかり説明しておくことが必要です。これはインスリン療法でも同じです。

 また、GLP-1受容体作動薬(ビクトーザ(R))は、それ自体に低血糖の危険性はありせんが、SU薬を併用するときには低血糖が生じる恐れがあるので、注意が必要です。

 患者さんには、日頃から低血糖への備えとして、ブドウ糖を含む食品や、ジュース類を常備・持参すること、低血糖が起こりそうだと感じた場合には、炭水化物を1単位程度摂取することをあらかじめ説明しておくことが大切です。

 次ページでは、低血糖の見極め方について説明します。

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