【連載】大切な人を亡くす子どもへのケア

第8回 子どもに現れる反応(後編)

監修 廣岡佳代

訪問看護パリアン訪問看護師 聖路加看護大学看護実践開発研究センター客員研究員

病気に対する親の不安が、子どもの体に現れる場合も

前編で述べてきたように、親ががんになった場合、感情面、行動面での変化が子どもには多く見られます。特に、親が強い不安をもつ場合は、子どもに与える影響も大きく、子どもも強い不安を抱くようになるといわれています。泣いたり、怒ることで自分の感情を表現することもあります。

がんの親をもつ子どもは、特にネガティブな反応が見られることが多く、時に、身体的な症状がみられることもあります。この場合、どちらかというと身体に変化が生じるわけではなく、不安や恐怖などの気持ちが体に影響を与えるために起こる症状といえるでしょう。

胃痛や食欲不振は、ストレスからくる症状と考えられます。また、学校の先生から「授業中に居眠りが多くなった」と指摘されるのは、夜、不安で眠れないからかもしれません。夜眠れなかったり、気持ちが落ち着かないことで、なんとなく上の空になったり、授業中の集中力も低下し、さらにそれが長期化した場合には、成績が低下することも予測されます。

このほか、たまった我慢が、友だちと喧嘩する、物にあたるなどの行動として現れたり、友達と遊ばなくなるなど、人とかかわりを避ける傾向が見られたりします。

親の体の変化を「怖い」と感じることも

患者さんの身体的な変化に、子どもは驚くといわれています。例えば、手術痕、化学療法中の脱毛や吐気などの副作用、そして、ターミナル期ではるい痩が挙げられます。

これまでと違う親の姿に、子ども自身が「怖い」と感じることがあります。その際には、身体的な変化はあるけれども、「いままでと同じお母さん/お父さん」であることを説明し、子どもの恐怖心を和らげることが重要です。

また、親が入院中の場合、洗濯ものを取り込む、洗いものを手伝う、妹や弟の世話をするなど、子どもの家庭内での役割が増えてきます。子どもに負担となることもありますが、親の役割を担えることで、子ども自身が親のがんに向き合えることも示されています。子どもの頑張りを認め、褒めることも大切なのです。

親の死を前に、子どもは何を望んでいるか

ターミナル期にある親を看病した経験をもつ子どもに行ったインタビュー調査から、子どもがもつニーズには以下のものがあると明らかにされています。

このように、子どもなりに、「親の状況の本当のことが知りたい」「親を苦しませないでほしい」と思う一方で、「何でもなく過ごしたい」といった、相対するニーズをもっていることがうかがえます。

みなさんが勤務されている病棟に、がん患者さんの子どもが訪れた場合は、子どもがこのようなニーズをもっていることを念頭に置き、患者さんとその子どもがよい時間が過ごせるように配慮することが大切になるでしょう。

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