【連載】看護研究はじめの一歩

第3回 質問紙法とは?質問紙法と面接法を使った研究

執筆 冨重佐智子

日本看護研究支援センター

質問紙法とは

今回は質問紙法と面接法を使った研究についてお話します。

質問紙法の特徴

まずは質問紙法。いわゆるアンケート調査のことです。 「看護研究」というと、すぐに質問紙調査を思い浮かべる人がいるかと思いますが、質問紙調査は万能ではありません。質問紙には調査に適した領域があります。 それは対象者の「意識できる心の内面」です。

心の内面を言葉を通して質問紙でとらえようとする、これが質問紙法の特徴です。

質問紙法の利点

質問紙法は最も看護研究で好まれる調査方法です。 その理由として短時間に調査が行えること、費用も安価で済むことなどが挙げられます。忙しいなかてっとり早くデータを収集したい、研究費が少ない看護師さんにとってはうってつけです。でも、欠点も多いのが質問紙法です。

質問紙法の欠点

最大の欠点は、対象者が意識できない部分は調査できないということです。 例えば、「あなたは1分間に何回瞬きをしますか」「あなたはご飯を食べるとき、何回くらい咀嚼しますか」などという質問をされたらどうでしょう。 瞬きや咀嚼など日常的・反射的でふだん意識にのぼらないことは答えようがありません。
2つめの欠点は、回答を無意識的・意識的にネジ曲げられやすいことです。

例えば年収や財産・親子関係・兄弟関係・性体験などについては回答に際して不快感が伴い、無意識的に回答を拒否したりネジ曲げたりしがちです。ほかに回答がネジ曲げられやすい例としては、「手洗い」や「交通ルール」などに関する質問があげられます。 これらは社会的に望ましい方向へ、つまり普段より優等生的な方向へ回答がネジ曲げられることが多いです。 他には、質問方式がややこしかったり多かったり、自由記述が多かったりする場合も問題です。この場合は対象者の回答内容が適当になります。

3つめの欠点は、体力のない人や意識障害の人、幼児や障害者などで文章理解が困難な人には難しいということです。

4つめの欠点は、回収率が低いということです。 集合調査では回収率が高いのですが、郵送調査などでは回収率が30%程度とかなり低くなります。 質問紙法にはこうした様々な欠点があるために、対象者によっては用いることができず他の研究方法を選択せざるを得ない場合があります。 また質問紙自体の欠点を補うために様々な工夫をこらす必要があります。

面接法とは

面接法の特徴

面接法で明らかにできるのは質問紙法と同じ「意識できる心の内面」です。 しかし、面接法は、質問紙法と比べものにならないくらい対象者の意識の深いところまで知ることができ、それが最大の利点といえるでしょう。 ここでは、面接法の利点と欠点について整理しておきます。

面接法の利点

面接法の利点は、質問紙法が欠点とする領域をおおよそカバーできてしまうことです。 1つめの利点は回答のネジ曲げをある程度回避できるということです。

対象者が回答をネジ曲げようとしたり、回答に詰まったりすると、それが表情や行動に表れます。 面接者はそれを見て質問の仕方や順序をかえたり、リラックスの時間をとったりするなど適切な回答のために臨機応変な対応をとることができます。 2つめは体力のない人や文章理解力の乏しい対象でも面接の仕方を工夫すれば調査が可能だということです。 3つめは回収率が高い(ほぼ100%)ということです。

郵送法などでは、仮に対象者以外の人が質問紙に回答しても確かめようがないのですが、面接法の場合は、本人を確実に同定することができます。

面接法の欠点

利点の多い面接法ですが、欠点もあります。その内容はやはり質問紙法の利点と表裏一体です。まず、データ収集に時間がかかるということです。 対象者の体調やスケジュールを調整したり、面接会場を設定したりと面接法はデータ収集に何かと時間がかかります。 必要な人数のデータを集めるのに何カ月もかかってしまったということは、面接法にはわりとありがちです。 欠点の2つめは人件費がかかるということです。

いっぺんにたくさんの対象者を面接しようとしたら、バイトを雇わなければならなくなります。 3つめの欠点は面接法では面接者の資質によって面接の内容が大きく変わってしまいます。

これは、面接の内容が「はい・いいえ」で答えられる簡単な面接ではなく、深層心理に迫るような面接(自由面接や半構成面接)の場合に特にいえることです。

我々には興味がある話題は詳しく聞こうとし、一方で自分にとって苦手な話題や、手に負えない話題に対しては無視したり話題をかえたりする傾向があります。

普通の会話ならそれでいいのですが、対象者の内面を探る面接でそれをやってはまずいです。面接者は常に研究課題を念頭におき、対象者の心をほぐしながら深層に迫っていかなければなりません。

こうした面接ができるようになるには、ロールプレイや自身の面接内容を録画して見直すなど、何時間も訓練する必要があります。そう、面接法では面接者の訓練に非常に時間がかかるのです。

質問紙法・面接法を進めるうえでの準備

質問紙法も面接法も「意識できる心の内面」を知るのに適した方法ですが、それぞれの利点・欠点から研究課題や対象者の特徴等に応じて使い分ける必要があります。 以下は、質問紙法または面接法を選択した後の、本調査までの準備を示したものです。

質問紙法・面接法を進めるうえでの準備

調査対象者の確認

まず、研究対象者の属性・特徴を改めて確認します。 年齢や性別・患者であれば現在の病気の状態、治療の進捗状況などを念頭に、質問内容や分量・時間、質問紙における言い回し、面接法における話し方などをイメージします。

測定概念の定義と項目化の方針を明確にする

質問紙法では、調べたい概念(測定概念)を、言葉で表現するとどうなるか考え、それをもとに質問項目を考えます。 「不安」を測定するのに、「不安」とはどういう状態なのか定義し、その定義のなかの言葉をより具体的にした形が質問項目になります。 既存の尺度が使えそうならできるだけそれを使用します。

面接法でも、質問紙法と同じように細かい項目を立て、「はい・いいえ」や「あてはまる・あてはまらない」などの質問をする場合があります。 その時の質問項目の作成は質問紙の場合とかわりません。

しかし、質問を投げかけ、そのテーマにそって自由に対象者に話してもらう面接法(自由面接法・半構成的面接法)では、どんな質問を投げかけたらいいか、またそのあとの対象者の反応をどうやって発展させていくか(話を広げていくか)を検討することになります。

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