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【連載】大切な人を亡くす子どもへのケア

第14回 子どもの心に寄り添う心理療法士の役割(後編)

監修 廣岡佳代

訪問看護パリアン訪問看護師 聖路加看護大学看護実践開発研究センター客員研究員

執筆 白石恵子

九州がんセンターサイコオンコロジー科 心理療法士(臨床心理士)

Ico childcare a1

心理療法士が親を亡くす子どもにどうアプローチし、かかわっていくか。後編では、前回の事例で紹介した、がん末期の母親の看取りの場面でのかかわりと、もう一つの事例を紹介します。


子どもの生活感覚を尊重し看取りの時期を過ごす

(前回からの事例の続き)

身体的状況が切羽詰まってきており、主治医からはできるだけ早く子どもに母親の病状を伝える必要があることが示された。今の状況では主治医よりも夫と筆者から伝えるのが子どもにとって理解しやすいであろうと判断した。

いつものように遊びながら、子どもたちと母親の病気の話をする。「お母さんは今もすごく頑張っているけれど、病気のほうが強くなってきていて、死んでしまうかもしれないこと、お話しできないけど声は聞こえていること、病気は誰のせいでもないこと」を会話に織り交ぜながら話した。夫からも、事前に「お母さんの病気はすごく悪くて危険な状況にある」ということは伝えてあった。

母親と今一緒にできることとして、「『家族の手形』を色紙にするのはどうかと考えているけれど、みんなはしてみたいと思う?」と提案すると、子どもたちは賛成した。Aさんの好きな色を3人で考えて、それぞれの好きな色を手に塗って手形を押した。3人は病状や死期が迫っていることに関して実感がわかない様子で、数日後にある修学旅行や介護体験の授業が楽しみと話して帰った。

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