【連載】500人のギモン&お悩み徹底解決

効果的な体位変換の目的とポジショニングを知ろう!

解説 熊谷祐子

現・自治医科大学看護学部 講師

患者さんの移動と体位変換は、重要なケアであるとともに頻繁に行われるケアです。患者さんのみならず、看護師自身にも負担がかからないように行いましょう。今回は、体位変換の目的とポジショニングについて解説していきます。


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体位変換とポジショニング


Q. 体位変換は自分で動ける人にも2時間ごとに必要なのですか。また、体位変換時に効果的なクッションの使い方を教えてください。

 A. 基本的には、自分で動けるのであれば、時間ごとの体位変換は必要ないと思います。

時間だけではなくて目的を考えた体位変換を

 動くことはできるのに、患者さんがベッドの中で身動きせずにいるため、体位変換が必要だと感じているのかもしれませんが、人間は、同一体位でいることは苦痛です。機能的に問題なく動けるのであれば、看護師による体位変換は必要ないでしょう。


 しかし、麻痺、筋力低下、意識低下などさまざまな問題で自分の意思では体動できない場合、あるいは体動によって循環動態に影響が出るなど病状に悪影 響を及ぼす場合には、同じ姿勢をとらざるを得ません。そこで、看護師が体位を変えることによって同一姿勢による苦痛の緩和を図るわけです。

 さらに、拘縮・変形予防、圧迫による循環障害・神経麻痺、褥瘡予防なども体位変換の目的となっています。つまり身体を動かすことで、循環障害が予防・改善でき、胸郭が広がり肺の拡張が促進されるといった効果が期待されているのです。

 時間ごとの体位変換もよいのですが、こうした目的を考慮して患さんの状態をアセスメントし、どの程度の頻度で体位変換が必要かをアセスメントすることが重要なのだと思います。

 特に、褥瘡予防は体位変換の大きな目的の一つになっており、好発部位や栄養状態など褥瘡リスクをアセスメントしたうえで、体位変換、効果的なポジショニングによって予防していくことが大切です。

 また、褥瘡予防では体位変換だけでなく、清拭時の観察なども重要で、皮膚に発赤がみられたらマッサージを行い、発赤が消失したことを確認します。長時間の同一姿勢での車椅子乗車をしないといった工夫も重要になります。

 安楽なポジショニングについては、体幹とクッションの間に隙間をつくらないことがポイントです。隙間ができるとその周囲の皮膚に圧がかかり、褥瘡ができやすくなります。できるだけ体圧が分散されるようなポジショニングをとることが大切です。

褥瘡予防のためのバスタオルは逆効果

 シーツの上にバスタオルを敷いている病院もあるようですが、バスタオルを敷くことが一般化してきたのは、褥瘡予防のために2時間ごとの体位変換が奨励されてきた頃からだと思います。

 2人で体位変換を行う余裕や1人で行う技術がないなどの理由から、考え出された工夫だったのでしょう。でも、中にはなぜバスタオルを敷くのか疑問をもたない人もいるはずです。

 シーツのしわを伸ばすように、バスタオルのしわも伸ばしているのであればよいのですが、そうでなければ褥瘡の原因を人為的につくるようなものです。褥瘡予防として使用しているはずのバスタオルが、褥瘡の原因になることも考えなければなりません。褥瘡予防として考えるなら、バスタオルを敷く前に1人で体位変換できる技術を身につけましょう。

 洗濯する家族の手間も大変です。マットレスの汚染予防を考えるとするならばしわをつくらないよう配慮する必要があります。また、バスタオルを使用している場合、縦・横での使い方があるようですが、なぜその方法で行うのかも検討することが必要です。

(「ナース専科マガジン」2010年5月号より転載)

次回は口腔ケアについて解説します。

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