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【連載】人工呼吸器 アラーム対応のキホン

分時換気量上限アラームの原因と対応

解説 野口裕幸

CE野口企画 代表 臨床工学技士

メーカーや機種によって、表示も名称も異なるのが人工呼吸器のアラーム。たくさんの種類をすべて記憶するのは大変難しいことです。そこで今回からは、人工呼吸器にとって主要なアラームをピックアップし、原理原則と対応の基本をまとめました。


【目次】


どんなアラーム?

呼吸数や1回換気量が増加し、1分間の換気量が設定値を超えたことを知らせるアラームです。基本的には自発呼吸を補助するモードのときに発生します。多くの機種では呼気量をモニターしていますが、機種によっては吸気量をモニターしているものもあります。患者さんの状態をより正確に知るためには、使用している機種がどちらのタイプなのか、知っておくことも大切です。

呼吸が速くなる理由としては、まず呼吸困難が発生したり、呼吸状態が悪化したことが挙げられます。この原因には、病状の悪化、息苦しさ、疼痛、発熱、鎮静不足、気管チューブの違和感、不安などが考えられます。また、このアラームと同時に気道内圧上限アラームが鳴る場合には、ファイティングが疑われます。

一方で、自発呼吸が改善して呼吸数が増加したり、換気量が増えたことも考えられます。これは、人工呼吸器の設定が患者さんの状態に合っていないことを意味しています。

単に設定を間違ったために鳴ることもあります。アラームの設定値を変更せずに、呼吸数だけを上げたとき、分時換気量が設定値を超えればアラームが鳴ってしまいます。また、フローセンサーに結露がつき、誤作動を起こした結果、アラームが鳴ることもあります。

対応の原理原則

アラームが鳴ったら、まず患者さんの呼吸不全が悪化したことを想定し、呼吸状態やSpO2、血液ガスなどを確認します。また、患者さんの表情や顔色、バイタルサインの観察も必要です。呼吸不全が悪化していると考えられる場合は、人工呼吸器の設定を変更する必要があるので、速やかに医師に報告します。疼痛や不安、発熱などがあれば、鎮痛薬や鎮静薬、解熱薬などの投与や冷罨法などの治療やケアを行います。

自発呼吸が改善している場合も、人工呼吸器の設定を患者さんに合わせて変更します。

患者さん側の問題を検討しても原因が見当たらないときは、回路のリークやセンサーの異常を疑って一通りチェックしていきます。

アラームの設定値は、分時換気量の実測値より20%程度多い値にするのが一般的です。

設定値のめやす

分時換気量の実測値より20%程度多い値に設定する

分時換気量上限アラーム対応の流れ

(図)分時換気量上限アラーム対応の流れ

Q&A

Q 患者さんの呼吸状態は悪化しておらず、特に痛みや不安もなさそうなのに、分時換気量上限アラームが鳴ります。理由は何ですか?

A 自発呼吸の回数が増えたり、1回の換気量が増えた場合にこのアラームが作動します。原因としては、まず病態が改善され、自発呼吸が増加してくる場合です。この場合は病態が改善へ向かう過程であることから、自発呼吸と強制換気が重なって1 回換気量が増えます。

例えば、肺水腫やショック状態で搬送された患者さんに輸液を行ったような場合、肺に水が貯留しはじめると換気量が減りますが、改善するにしたがい換気量は元に戻るため、アラームが作動することがあります。そこで吸気圧の設定を下げるなど、患者さんに合わせた設定の変更が必要です。

また、呼吸状態が悪くなくても、鎮静が不十分であったり、発熱、疼痛などが原因で自発呼吸の回数や1 回換気量が増えることがあります。患者さんの状態をよく観察して対処します。

*次回は「呼吸回数上限アラーム(頻呼吸アラーム)」について解説します。

(『ナース専科マガジン2012年12月増刊号 一冊まるごと呼吸ケア』より転載)

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