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【連載】日本一若い!? 訪問看護師の挑戦

第1回 東日本大震災がきっかけとなった!

執筆 川添高志

ケアプロ株式会社・代表取締役社長

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500円で健康診査が受けられる「ワンコイン健診」で注目を浴びるケアプロ。同社が、3.11の被災地支援の経験から必要性を痛感して立ち上げた、訪問看護ステーションの奮闘記を連載します。第1章は「訪問看護起業前夜」全6回の予定です。


1.東日本大震災がきっかけとなった!

現地の様子

ケアプロスタッフは3月下旬から被災地支援のため現地に入った

ケアプロが訪問看護を開始するきっかけになったのは東日本大震災の被災地支援だった。

平間(現ケアプロ在宅医療事業部長)や志賀、小森、久慈などのケアプロナースは、3月下旬から宮城県石巻市の避難所を回って、感染対策や健康状態のチェック、医療機関紹介などを行っていた。避難所には、津波で薬が流された方、かかりつけの医師と連絡が取れなくなった方、家族を失って夜も眠れずに精神的に不安定な方がいた。

医療機関に通えない医療難民が多く、避難所には在宅医療が必要であった。「今日はどうですか?」と体調を尋ねながら、検温や血圧などバイタルサインのチェック、内服状況の確認、お通じの状況確認など、全身の状態に変化がないかを看ていったが、継続的に訪問看護が入る必要のある方が避難所に多いことがわかった。

そこで私たちは、石巻市の訪問看護ステーションの看護師の皆さんと一緒に、「石巻地域医療復興会議」を開催して地域の訪問看護ニーズを共有し、訪問看護の導入がスムースに行なえるよう活動していった。

現地の様子②

ケアプロが災害支援に入った石巻市の避難所には、在宅医療が必要な医療難民がたくさんいた

看取難民30万人の時代に

ケアプロのスタッフは、冒頭に登場した平間、志賀、小森、久慈など皆看護師である。そこで3.11の惨状を見て、すぐさま被災地支援に乗り出した。

被災地で活動を続けている中、「"仮設孤独死"宮城で2人」という河北新報の記事(2011年7月16日付)を見て、息を飲んだ。石巻の小学校や中学校で、独りで避難していた高齢者の方々の顔が思い浮かんだ。"独りで大丈夫だろうか?"と。

孤独死を防ぐために、避難所には、保健師が巡回したり、管理人が常駐して目配りはあった。しかし、その後も、誰にも看取られずに亡くなった孤独死の話を耳にすると、なんともやるせない気持ちが込み上げていった。

避難所生活や仮設住宅での生活が多い被災地では、在宅医療が重要であることは当然だが、この課題は、日本全体において大きな課題であり、2020年に死亡する140万人のうち看取り場所がない「看取難民」が約30万人と試算されている※)。

つまり、被災地で起きていることは、超高齢化が進む、将来の日本全体の縮図なのだ。

私たちは、被災地の教訓から、10年後20年後の日本をこのような状態にしてはいけないと心に誓った。

ただ、課題は大きい。現在、訪問看護の利用者は、2012年現在で約38万6000人。10年前の23万7000人と比べ、約15万人増えている。一方で、訪問看護ステーションで働く看護師は、2010年で約3万人で、10年前と比べ約4000人程度しか増えていない。

この数字を見た時に、本当にマズイっ!と思った。訪問看護が全然足りない。

私たちは看護師としてどうしたら良いのか、悩んだ末、答えは一つしかなかった。

24時間365日対応の"ケアプロ訪問看護ステーション東京"を立ち上げることを決意し、2012年12月1日から立ち上げ準備に取りかかった。

※)「我が国医療についての基本資料 中央社会保障医療協議会」(H23)より

次回は、「川添さんが感じる日本の訪問看護の問題について」です!