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【連載】日本一若い!? 訪問看護師の挑戦

第2回 訪問看護起業前夜

執筆 川添高志

ケアプロ株式会社・代表取締役社長

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500円で健康診査が受けられる「ワンコイン健診」で注目を浴びるケアプロ。同社が、3.11の被災地支援の経験から必要性を痛感して立ち上げた、訪問看護ステーションの奮闘記を連載します。第1章は「訪問看護起業前夜」です。


訪問看護を待っている人が50万人!?

私は大学1年生の時に、訪問看護のパイオニアである村松静子さんのお話を伺ってから訪問看護に関心を持っていた。そのため、ケアプロで「ワンコイン健診」を立ち上げながら、全国訪問看護事業協会の職員を兼務し、訪問看護ステーションの必要数や利用者数の研究に関わった。それが今から約5年前であるが、当時、全国訪問看護事業協会として厚生労働省の審議会への提案の中で、平成27年には、訪問看護の利用者を90万人、訪問看護師を9万人という目標を掲げた※。

5年が経過してその目標に近づいているかと思っていたが、5年前と殆ど変わらず、現在の利用者は40万人、訪問看護師は3万人である。あと3年後には利用者90万人という目標だったので、現状と50万人もギャップがあり、大きな危機感を抱いた。

夜間や土日対応の訪問ステーションは1割

また、訪問看護ステーションの絶対数が足りないだけでなく、「夜間や土日祝日に対応できるステーション」が全体の1割程度しかないこともわかった。

被災地から帰って、訪問看護ステーションの方々に話を伺いに行くと、
「看護師が不足していて、訪問看護の受け入れを断らなければいけないことがある」
「働いている看護師は主婦が多く、夜勤や土日祝日の勤務が難しい」
「訪問看護の24時間365日対応は難しく、人工呼吸器がついている方やがん、難病の方など医療依存度が高い方をお断りしなければいけないこともある」とのこと。
この話を聞いて私は、在宅で安心して療養生活を送り、看取られる環境が十分に整っていないと察した。

一方で病院の看護部長や地域医療連携室のソーシャルワーカーの方々からは
「在宅で最期を看てもらいたいという患者さんは多いけど、受け入れてくれる訪問看護ステーションを探すのが大変」
「今後、さらに高齢者が増えるので、訪問看護が増えてくれないと・・」
「例えば小児の場合は××地域に訪問看護ステーションがなくて困っている」など、どれも切実な叫びだった。

ヨスさんとの出会いで明るい兆しが

しかし、ケアーズ白十字訪問看護ステーションの秋山さんに紹介された、オランダ人看護師のヨスさんとの出会いで明るい兆しが見えた。オランダには日本の訪問看護ステーションとはまったくスケールの違うモデルがあったからだ。

ヨスさんら看護師が2006年に起業し、翌年1月に4人で始まったBuurtzorgは、その後急速に拡大。2012年12月現在、九州ほどの広さのオランダ全土で約500チームが各チーム10人体制で、看護師や介護士が約5000人で運営している。管理部門は約30人、間接費は8%と他の在宅ケア組織の平均25%を大きく下回る。利用者は約5万人。現在、オランダのすべての産業を通じて最も成長している事業者といわれている。

オランダの訪問看護ステーション事情を聞く川添さんとヨスさんの写真

オランダの訪問看護ステーション事情を聞く私とヨスさん

※引用文献:「社会保障審議会介護給付費分科会 介護サービスの把握のためのワーキングチームにおける事業者等団体ヒアリング資料 訪問看護ステーションの現状と今後の展望について(平成19年11月13日 社団法人 全国訪問看護事業協会)」

※次回は、ついにケアプロが下した決断について、月曜日配信です!