【連載】人工呼吸器 換気モードのキホン

【人工呼吸器】換気モードの量規定と圧規定

解説 野口裕幸

CE野口企画 代表 臨床工学技士

患者さんが楽に呼吸ができるようにサポートしていくことが看護師の重要な役割の一つ。そのためには、どんな呼吸をしているのかを把握しなければいけません。人工呼吸器装着下で患者さんの呼吸をどのように補助するのか、それを決めているのが換気モードの設定です。


【目次】


“ どのくらい” の基準を決める量規定と圧規定

人工呼吸器の換気モードは、患者さんの自発呼吸の有無や状態によって選択されます。そして強制換気時にどのくらいガスを送るか、その“どのくらい”を量によって設定するのか、圧によって設定するのか選択されます(換気モードによっては圧だけの場合もある)。各モードの解説に入る前に、この量規定と圧規定について解説しましょう。

簡単にいうと、例えば、1回換気量が500mLといった場合、1回換気量500mLを送気すると決めるのが「量規定」、圧の値を決めて送気した結果、1回換気量が500mL得られたのが「圧規定」です。つまり、量を決めて送気するのか、圧を決めて送気するのかという違いです。

初期の人工呼吸器では主に量しか規定できませんでしたが、技術の進化とともに、圧規定が可能な機器が開発されました。どちらを選択するかは医師の治療戦略によりますが、最近では、圧を規定することで、過剰な加圧による肺の圧損傷を防ぐことができるためARDS(急性呼吸促迫症候群)などの重症の疾患の場合、圧規定のほうがベターだとされています。

肺の膨らみ方や気道内圧のかかり方は量規定と圧規定で異なります。そのため、グラフィックモニターに表示される気道内圧やフロー波形も異なってきます。1回の換気がどのように行われているのか、それぞれの特徴を理解しておきましょう。 ちなみに最近では、量を保証した圧規定ができるなど、量と圧を両方規定できるモードも登場しています。

量規定 VCV:Volume Control Ventilation

設定した1回換気量を目標に強制換気を行う方法。人工呼吸器の回路内にエアリークがない限り、患者さんが低換気に陥る危険性は少ないが、送気時に生じる気道内圧とは関係なく、設定された1回換気量が強制的に送られます。

[特徴]

・吸気に対して送られる量を規定する
・吸気の終わりは時間か量による

[メリット]

・1回換気量が規定できる

[デメリット]

・気道内圧、肺胞圧が変化する
・肺保護には不向き
・吸気流量(Flow )が規定されている場合が多いため、自発呼吸に対して不向き
・換気/血流比の不均等分布が起きやすい

[基本設定項目]

・1回換気量
・呼吸回数
・吸気時間:呼気時間(I:E比)

圧規定 PCV:Pressure Control Ventilation

設定した圧を目標に強制換気が行われます。病態の変化にかかわらず、気道内圧を一定に保つため圧損傷が発生しにくいとされています。

[特徴]

・吸気に対する圧を規定する
・吸気の終わりは、時間か吸気流量(Flow)による

[メリット]

・肺保護がしやすい ・吸気流量(Flow )が患者さんの状態に応じて可変

[デメリット]

・1回換気量が不安定

[基本設定項目]

・PCV圧
・吸気時間(吸気%)
・呼吸回数

次回は、換気モードの種類と特徴[その1]について解説します。

『ナース専科マガジン2012年12月増刊号「一冊まるごと呼吸ケア」より転載』

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