【連載】女性のがんのケア

第9回 子宮頸がんの手術療法と放射線療法の選択

解説 田中陽子

がん・感染症センター 都立駒込病院 放射線治療部 がん放射線療法看護認定看護師

病期によって選択が違ってきます。手術療法と放射線療法がどんな治療なのか、それぞれの療法について知っておきましょう。


Q 子宮頸がんの場合、手術療法と放射線療法ではどのようにして選択するのですか。

A 病期が早い段階では、手術療法が第1選択になります。浸潤の程度や病変の大きさによっては放射線療法が選択されます。

解説 病期によって治療が異なる

子宮頸がん症例の臨床病期は、0期~IV期に分類され、治療が異なります。治療方法としては、手術療法あるいは放射線療法となります。放射線療法は単独もしくは化学療法を併用した化学療法が行われます。

手術療法:子宮頸部円錐切除術

子宮頸部を経腟的に円錐状に切除する方法です。0期(上皮内がん)の場合には、診断確定のために行われます。病理検査の結果で、浸潤がんが存在せず、切除断端が陰性の場合は治療が終了となります。

Ia1期(子宮頸部に限局し、初期間質内浸潤がんまたは潜伏浸潤がんの状態。深さ3mm以内、広がり7mmを超えない)の場合は、単純子宮全摘出術が適応されます。

妊孕性の温存を希望する場合は、病理検査の結果で、脈管侵襲や癒合浸潤がみられず、切除断端が陰性であれば子宮頸部円錐切除で経過観察を行うことも可能と考えます。

※続いては、広汎子宮全摘出術について解説します。

手術療法:広汎子宮全摘出術

Ia2期(進行はIa1期と同様。3mmを超え5mm以内で広がりは7mmを超えない)からIIb期(がんが頸部を超えて広がっているが、骨盤壁または腟壁1/3には達していないもので、IIa期を超えるもの)までは広汎子宮全摘出術を行います。

また、根治的放射線療法でも治療成績はほぼ同じと言われています。(この場合の放射線治療は化学放射線療法を行います。また、腔内照射による小線源治療を併用します。)

広汎子宮全摘術では、子宮と膣の一部を含め子宮を支えている靭帯などを含め、骨盤壁近くから広い範囲で切除します。同時に子宮頸部にかかわる骨盤リンパ節郭清を行います。

術後に病理検査を行うので予後にかかわる因子が推定でき、卵巣を温存することが可能です。一方、比較的大きな手術侵襲があり、排尿障害やリンパ浮腫が出やすいのが欠点です。

手術後、リンパ節転移がみられたり、がんの浸潤が著しい、脈管侵襲が認められる場合には、追加で放射線照射が必要になります。

放射線療法

Ib期以上の子宮頸がん(特に扁平上皮がん)では、放射線治療法の適応になります。特に手術不能であるIII期・IV期では放射線療法が主体です。

その方法は外部照射と腔内照射があります。

外部照射は子宮頸部の原発巣と骨盤内のリンパ節を含む骨盤全体を体外から、直交四門照射を基本とします。

根治目的の場合には外部照射と腔内照射を並行して行います。

腔内照射は腟からアプリケータと呼ばれる器具を子宮内まで挿入し、子宮頸部の原発巣をピンポイントで照射する方法で、週1回程度の割合で4~5回行います。

放射線療法には化学療法(シスプラチン等)の併用が汎用されてきています。化学放射線療法では放射線療法を単独で行う場合と比較して有害事象が強く出るといわれます。

広汎子宮全摘出術の場合、腟が短くなり性行為などのセクシュアリティにも影響が生じます。

術後の排尿障害は骨盤神経を温存する術式で以前より減りましたが、リンパ浮腫はリンパ郭清を行った患者さんの2~3割に認められます。

一方で放射線療法は、子宮を残せる半面、不可逆的な組織の萎縮が生じ、性機能障害が起こる可能性があります。

また、放射線の急性期障害として皮膚炎や放射線性腸炎が出現します。その対応としては陰部の皮膚を清潔にし、刺激を避け、薬剤による排便コントロールを行います。

晩期障害として直腸出血、膀胱出血、直腸腟ろうなどがまれに生じることがあります。

広汎子宮全摘手術の切除範囲

広汎子宮全摘手術の切除範囲

※次回は妊孕性の温存について、どう患者さんに説明すればよいのか解説します。

(『ナース専科マガジン』2011年1月号より転載)

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