1. トップ
  2. 看護記事
  3. 診療科から探す
  4. 呼吸器科
  5. 呼吸器科の看護技術
  6. 人工呼吸器
  7. 人工呼吸器のアラーム対応
  8. 最終回 人工呼吸器の患者さんが入院してきた

【連載】つれづれ呼吸ケア日記

最終回 人工呼吸器の患者さんが入院してきた

  • 公開日: 2016/1/9
  • 更新日: 2021/1/6

「もう10年以上人工呼吸器に触れていないからアラームが怖い」「アラームが鳴っても対応がわからなくて泣きそうになる」など、人工呼吸器のアラームにニガテ意識を持つ人が多いのでは?そこで今回は、人工呼吸器をアラーム対応についておさらいします。


アラーム=患者さんの声に耳を傾ける

先週、人工呼吸器を装着した患者さんが入院してきた。 ベテランの先輩が担当しているから、患者さんと接する機会は少ないものの、もし先輩がいないときにアラームが鳴ったらと思うと、不安で仕方がない……。 人工呼吸器にはしばらく触れていないからニガテ意識もなくならないし、アラーム対応は一歩間違えれば患者さんの生死に直結するから本当に怖い。とはいえ、怖がってばかりいても患者さんの力にはなれない。 漠然とした不安を取り除くためにも、人工呼吸器のアラームを基礎からおさらいしよう!

アラームの役割は?

人工呼吸器を装着した患者さんは、挿管されていたり鎮静状態にあるため、訴えるコミュニケーション手段がない。そこでアラームが”患者さんの声にならない声”を代弁している。そのため、看護師には患者さんのサポーターとしてアラームが発する声を受け止め、対処する能力が求められる。

アラームの3つの声

その1 「息が十分に吸えなくて苦しい」「空気が多すぎてもう吸えない」など、患者さんの呼吸状態を知らせるその2 「回路のどこかが詰まっている」「どこかから空気が漏れている」など、人工呼吸器本体の故障や回路の不備を知らせる その3 「酸素が供給されていない」「電源が抜けている」など、環境・設備の不具合などを知らせる

人工呼吸器のアラームとは

(「ナース専科」2012年12月増刊号「一冊まるごと呼吸ケア」より引用)

慌てずに冷静な対処を

アラームについておさらいした後は、対処法をチェックしよう!

自分に置き換えて対処

アラームが鳴ったとき、機械ばかり見ていても原因に気づくことはできない。そこで余計にわからなさからくる不安が高まり、パニックになり慌ててしまう。 ここで大切なのは、”自分が今この患者さんだったら”と常に考えること。呼吸数の増加を示すアラームが鳴っていれば、発熱や疼痛、不安、呼吸苦など、自分が頻呼吸に陥るときの状況を想像しながら、バイタルサインや生体情報モニターを観察する。 自分に置き換えて考えていく習慣をつけることで、対応への道筋をよりシンプルにすることができる。

頻回にアラームが鳴る場合

臨床現場でよく遭遇するのは、アラームが鳴って消音した後に、リセットしてないために繰り返し作動してしまうケース。 メーカーや機種にもよるが、リセットしないかぎりアラームを消せなかったり、モニター上に履歴が残る機種がある。消音後にたびたび鳴る場合は、「リセットせよ」という機械の呼びかけなので、正しく作動させるためにも必ずリセットする。 また、モニターの近くを通る際には、必ず履歴の確認を習慣づけると本体の故障という高いリスクを回避できる。

アラーム履歴の例

アラーム履歴の例

(「ナース専科」2012年12月増刊号「一冊まるごと呼吸ケア」より引用)

アラームの原因と対応のキホン

アラームの鳴る原因として、大きく分けて以下の3つが考えられる。 1.人工呼吸器自体に問題がある 2.設定に問題がある 3.患者さんの容態が変化した まずはこれらを確認して、原因を突き止める。もし、患者さん側の問題によるアラームであれば、原因に合わせて、吸引を行ったり、医師に連絡をして設定を変更する、といった対応を行う。 そのためにも各種アラームの原理や、対応の原則を知っておくことは大切。これを知っていると慌てずに対応できる。 人工呼吸器で流量や圧を規定していても、患者さんの気道内の状態は呼吸ごとに変化している。だからこそ、患者さんの呼吸状態をよく観察し、呼吸の変化に対応することが看護師には求められる。

★今日のつぶやき★ 「アラームが患者さんの声を代弁している」って考え方はわかりやすかったなあ。 人工呼吸器について、MEさんまかせにしていてはダメだな。MEさんにナース向けの勉強会を開いてもらおうかな。少しでも患者さんの力になれるように、これからも勉強を続けていかなきゃ!
※「つれづれ呼吸ケア日記」は今回で連載終了です。

この記事を読んでいる人におすすめ

カテゴリの新着記事

人工呼吸器のアラームの原因と対応

人工呼吸器のアラームには、機械自体異常を知らせるもの、患者さんの状態と設定したモードが合っていないことを知らせるものなど、さまざまな種類があります。また、人工呼吸器の機種によっても呼び名が違っていることもあり、混乱する人も多いのではないでしょうか。 ここでは、アラー

2017/8/28

アクセスランキング

1位

心電図でみる心室期外収縮(PVC・VPC)の波形・特徴と

心室期外収縮(PVC・VPC)の心電図の特徴と主な症状・治療などについて解説します。 この記事では、解説の際PVCで統一いたします。 【関連記事】 * 心電図で使う略語・用語...

250751
2位

【血液ガス】血液ガス分析とは?基準値や読み方について

血液ガス分析とは?血液ガスの主な基準値 血液ガス分析とは、血中に溶けている気体(酸素や二酸化炭素など)の量を調べる検査です。主に、PaO2、SaO2、PaCO2、HCO3-、pH, ...

249974
3位

人工呼吸器の看護|設定・モード・アラーム対応まとめ

みんなが苦手な人工呼吸器 多くの人が苦手という人工呼吸器。苦手といっても、仕組みがよくわからない人もいれば、換気モードがわからないという人などさまざまではないでしょうか。ここでは、人工呼...

250017
4位

吸引(口腔・鼻腔)の看護|気管吸引の目的、手順・方法、コ

*2022年12月8日改訂 *2022年6月7日改訂 *2020年3月23日改訂 *2017年8月15日改訂 *2016年11月18日改訂 ▼関連記事 気管切開とは? 気管切開...

250001
5位

SIRS(全身性炎症反応症候群)とは?基準は?

*この記事は2016年7月4日に更新しました。 SIRS(全身性炎症反応症候群)について解説します。 SIRS(全身性炎症反応症候群)とは? SIRS(全身性炎症反応...

250839
6位

採血|コツ、手順・方法、採血後の注意点(内出血、しびれ等

採血とは  採血には、シリンジで血液を採取した後に分注する方法と、針を刺した状態で真空採血管を使用する方法の2種類があります。 採血の準備と手順(シリンジ・真空採血管) 採血時に準備...

250858
7位

心電図の基礎知識、基準値(正常値)・異常値、主な異常波形

*2016年9月1日改訂 *2016年12月19日改訂 *2020年4月24日改訂 *2023年7月11日改訂 心電図の基礎知識 心電図とは  心臓には、自ら電気信...

250061
8位

サチュレーション(SpO2)とは? 基準値・意味は?低下

*2019年3月11日改訂 *2017年7月18日改訂 *2021年8月9日改訂 発熱、喘息、肺炎……etc.多くの患者さんが装着しているパルスオキシメータ。 その測定値である...

249818
9位

第2回 全身麻酔の看護|使用する薬剤の種類、方法、副作用

【関連記事】 *硬膜外麻酔(エピ)の穿刺部位と手順【マンガでわかる看護技術】 *術後痛のアセスメントとは|術後急性期の痛みの特徴とケア *第3回 局所浸潤麻酔|使用する薬剤の種類、実施方...

295949
10位

第2回 小児のバイタルサイン測定|意義・目的、測定方法、

バイタルサイン測定の意義  小児は成人と比べて生理機能が未熟で、外界からの刺激を受けやすく、バイタルサインは変動しやすい状態にあります。また、年齢が低いほど自分の症状や苦痛をうまく表現できません。そ...

309636