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【連載】日本一若い!? 訪問看護師の挑戦

第16回 病棟看護との違い

執筆 川添高志

ケアプロ株式会社・代表取締役社長

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ケアプロ訪問看護ステーション、唯一の女性正社員・稲葉公子は、紆余曲折を経てケアプロに入社し、現在は訪問看護師に加えて、会社の人事採用も担っている。さまざまな挑戦を続ける彼女に、今回は訪問看護師として働く喜びや病院で働くこととの違いについて語ってもらった。


在宅医からは抜去のお許しが

訪問看護の現場では、看護師個人の力量が試される場面が多くあります。それはとても大きな重圧である一方、やりがいを感じられることもたくさんあります。

最近の話では、Aさん(仮名)は病院からバルーンを装着した状態で退院してきました。私はバルーンまでは必要ないのではないかと思っていたのですが、担当医は装着を続けるのがいいだろうという判断でした。 ところが、現状報告と今後の方針(AさんやAさん家族の希望)を共有したところ、在宅の担当医からは「バルーン抜去」のお許しがでました。その後、Aさんは問題なく穏やかな生活を続けることができています。

あったかいミルクティーの幸せ

ちなみに、Aさんは、ずっと外に出られる状態ではなかったのですが、バルーンを外してリハビリを開始したことで、近所への散歩程度の運動が可能になりました。散歩の途中、Aさんとベンチに座って、一緒に買ったあったかいミルクティーを飲みました。こんな何気ないことも少し前までのAさんからは、考えられないことです。

病院での看護では軽視されがちな、本人の希望にフォーカスして、専門職としてどうやって叶えるか、目的のために在宅医療スタッフをどうやってマネジメントするかが、訪問看護師としての腕の見せどころだと、若輩ながらも感じています。

その人らしさを実現するために

その他にも、重い障がいを抱えた利用者さまに、夜間の訪問看護を提供することで、その方が日中フルタイムで働くことが可能になった事例もあります。

病院勤務時代、同じ症状の患者さまを多く見てきましたが、「介助が必要だから仕事はできない」と、病院・家族・本人が決めつけてしまっている例がほとんどでした。障がいを持った方でも、環境次第では仕事もできる、それは当然のことなのですが、今の日本の現状では、そうなってはいません。

「介助が必要だから、仕事はできない」といった考えが根強いままでは、社会に潜在している多くの能力を見過ごしてしまうことにもなります。 訪問看護がもっと社会に浸透していけば、障がいを抱えていたとしても、社会で自分の能力を発揮しやすくなり、またそうでなければならないと感じています。

※次回も稲葉さんが経験した症例より、水曜配信です。

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