【連載】褥瘡ケア 創の見方と適切なドレッシング材

この褥瘡に最適なドレッシング材を選ぶ!

解説 渡辺光子

日本医科大学千葉北総病院 看護師長 皮膚・排泄ケア認定看護師

この連載では、創の見方と適切なドレッシング材の選び方について解説していきます。 まずは、ドレッシング材について基本のポイントを押さえておきましょう。

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ドレッシング材の目的

 日本褥瘡学会の「褥瘡予防・管理ガイドライン」によれば、ドレッシング材とは「創における湿潤環境形成を目的とした近代的な創傷被覆材の呼称」とされています。つまり、ドレッシング材とは「近代的な創の湿潤環境を保つための材料」といえるでしょう。

 もともとドレッシングとは「覆う」「被せる」という意味で、医学英和辞典では「包帯などを用いて傷を保護すること」とあります。 従来のガーゼもドレッシング材に入ります。しかし、1962年湿潤環境の理論(Winter)が出てからは、ドレッシング材の概念が変わってきました。 そのため、ガーゼドレッシングの価値は低下してきたといえます。こうした背景から、日本褥瘡学会でも前述したように定義しているのです。

ドレッシング材は数ある治療法の1つ

 「ドレッシング材と薬剤、どちらを使うほうがいい?」という疑問を耳にしますが、ドレッシング材は創を適度な湿潤環境に整え、自然治癒力を最大限に発揮させるために使うもの。一方、薬剤は薬剤の効果を狙って創を治したいときに使います。

 このように2つの役割は異なり、創に合わせて薬剤かドレッシング材のどちらか1つを選んで治療をスタートするのが一般的です。薬剤とドレッシング材の両方を同時に使用する場合もありますが、どちらか一方しか保険請求ができないということをわかった上で使用する必要があります。

 さらに、治りにくい創については、陰圧閉鎖療法などの物理療法と薬剤、ドレッシング材を併用して行うケースもあり、創の状態によって治療法が変わってきます。また、褥瘡はこうした局所治療だけではなく、患者さんの栄養状態、血行動態など全身をみる必要があります。 局所の治療ばかりではなく、患者さんをトータルにアセスメントすることが大切です。

創の治癒過程を把握することが大切

 適切なドレッシング材の選択が分からないのは、ドレッシング材の種類がとても多いために、使い分けに混乱するからだと思います。 しかし、創の状態が分かっていれば、ドレッシング材の特性を踏まえ、適したものを考えることができます。

 具体的な創の見方については、次回から詳しく解説していきますが、創の状態をみるには、まずは治癒過程を理解し、現在、創がどの段階にあるのかを見極め、治癒に向かった治療を行っていくことが大切です(図)。

褥瘡の治癒過程
(図 褥瘡の治癒過程)

※次回は褥瘡の急性期のアセスメントポイントについて解説します。

(ナース専科「マガジン」2010年6月号より転載)
イラスト/東 いずみ

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