【連載】新人ナースへのエール!

第5回 未来のナース像

執筆 齋藤益子

東邦大学看護学部看護学科 教授

Undoukai ouen boy red

今回は、保健師助産師教育に尽力する齋藤益子さんからのエールです。かつては3K(汚い、きつい、危険)といわれた看護師ですが、いまこそ新たな看護師像を作っていくべきである、と齋藤さんはいいます。齋藤さんの提案する新しい3Kとは...?


昨年の夏のある病室

知人が骨盤穿刺の検査目的で入院。検査は4時半からの予定でした。

2時頃、1人の若い看護師が「○○さん、前の患者が早く終わったので、今から検査に行くので術衣に着替えてください」と、いきなり術衣とストレッチャーを持ってきました。

「あれ、4時半からの予定ではなかったの? まだ家族も来ていないのだけど……」と、戸惑い納得できずおろおろする知人。看護師は患者の様子にはおかまいなく「注射をしますね」と、慣れない手つきで検査前の皮下注を!!

「痛いなー。これなんの注射?」、「ソセゴンとアタPです」「血圧をはかります」と続いた。知人は怒りとストレスで血圧が160mm/Hgまで上昇。私は、すかさず「○○さん、落ち着いて、はい、息を吐いてー。フー。もう一度、吐いてーフー・・」と、吐く呼吸を繰り返えさせ、血圧が落ち着いたところでどうにか検査室に向かえた。

全国のナースのみなさん!! この事例をどう思いますか。時間の変更なんてよくある光景かもしれません。しかし、私は違う、そんな関りはしない、そう思ってくれるナースも多いはず。

ナースの仕事は楽しいですか? 今、何を考えて、どんな仕事をしていますか? これからどんな仕事がしたいですか? 今回、ナースの未来像について私が期待したいことを話してみたいと思います。そして看護の素晴らしさを共感できれば嬉しいです。

ナースの新しい3K

かつて、看護の仕事は「汚い、きつい、危険」の3Kと言われてきました。病院は汚いところ、過重労働で賃金は安くて厳しく、危険な職場と思われていたのです。しかし、わが国の看護は発展し、教育は充実してきました。大学教育が主流となり、大学院教育を終えて臨床で働くナースも増えています。

今日、社会人を経験した看護師も多く、高学歴ナースが増えています。このような看護師が働く職場には新たな3Kを作る必要があります。新しい3Kとして「機敏性、気品、謙虚さ」を提案します。

3Kを支える4性

3Kの一つ「機敏性」は、行動だけではなく機敏に相手の反応を読み取り、瞬間的に頭を働かせて、必要なケアを判断できる「知性」を伴った機敏さです。特に患者さんのニーズを瞬間的に掴むためには、臨床的直感力を発揮することが求められます。そこには患者さんの心を感じる力、「感性」が必要になります。知性、感性があっても、それを行動に移すためには適した性質があります。

それでは看護師に適した性質とは何でしょうか。明るさ、素直さ、器用さ、相手に好感を与える笑顔や姿勢・態度が自然に出せること、このような性質が適している性質といえるでしょう。

「適性」には、そのもとになる「品性」が必要になります。品性は、人間に最も大切な性質です。品性を培うためには真摯な心を持つことです。子どもの時のように常に純粋で、偽りがなく、真っ直ぐに生きる心から品性は生まれます。品性を高めるためには、自分の心に「いやしさ、ねたみ、偽り、恨み、疑い」などの心を宿らせないことです。

全ての自分の周りにおきる出来事をポジティブにとらえ、「自分が耐える力があるから、この試練はあるのだ、絶対のりこえることができるはずだ」と前向きに捉え、結果がどうであれ「すべてこれで良かった」と肯定する心。肯定することで心は癒され、他人をねたんだり、恨んだりすることなく、その後の時間がゆったりと流れ、心の安寧が得られます。そのような時間を持つことで、心を豊かにすることができます。

※次ページは、感性・品性を高めるためのアドバイスです。