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【連載】日本一若い!? 訪問看護師の挑戦

第39回 自宅で穏やかな看取りを迎えたい

執筆 川添高志

ケアプロ株式会社・代表取締役社長

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自宅で看取ることをイメージする

入退院を繰り返す83歳男性のY様は、寝たきりの状態で最低限の介護・看護支援を受けている。

奥様と息子さんとの3人暮らしだが、主な介護の担い手の奥様は、入院の度にADLが低下することを懸念していて、体調悪化により入院を勧められても拒み、「自宅で看取る」と強い希望を持っている。その希望を叶えるために、所長・岩本らケアプロスタッフが寄り添い支えた。

自宅での看取りを決めてもご家族に迷いや不安がなくなるわけではない。迷いが生じた時、何が不安で、何を疑問に思うのか、私たちは利用者様の訴えをしっかりと聞き、ケアプロで解消できることか、そうでないのかを明らかにすることはとても大切である。

もしもケアプロにも解消できないことならば、かかりつけ医やソーシャルワーカーに積極的に相談をもちかけた。

緊急時の対応についてもご家族に理解していただかなければ、「自宅での看取り」の実現は難しい。夜中の発熱時に奥様から不安な声で緊急コールが入り、すぐさま駆け付けることもたびたびだった。

もしも救急車を呼んで、救命措置が始まってしまえば、中断させることは不可能。その先にあるのは、病院での看取りだ。

自宅で看取るならば、なにがあっても落ち着いて、ケアプロの緊急連絡先に電話をするようにと、繰り返し繰り返しお伝えし、ご家族に自宅での看取りのイメージを持っていただくことが大事である。

突然訪れた看取りの時

Y様の看取りの時は、突然にやってきた。前日に体調が悪化した時に所長・岩本が看護に入っていたのだが、翌朝、「息が止まっているから来てください」と奥様から電話があったのだ。すぐさまかかりつけ医に連絡し、Y様の死亡を確認したのである。

そして、奥様と息子さんとでY様をきれいにしてさしあげることにした。いつも髭を剃っていた息子さんは「きっと痛いって言ってるよ」と笑った。

奥様と体を拭きながら、「ビシッとカッコよくしよう」とスーツを着せることになった。いつものY様だ。とても穏やかなお顔……。奥様も息子さんも明るく和やかにお話しながら、Y様とお別れができたのである。

グリーフケアの一環の行為だが、自然に出てきた流れだった。奥様も息子さんも「ウチで看取れてよかった、よかった」と言ってくださった。

ケアプロは利用者様の希望を叶えるために、24時間365日の訪問看護を実践している。訪問看護にも自宅での看取りにも正解はない。各ご家庭の事情もゴールも違う。その中で、私たちケアプロは模索しながら工夫をし、利用者様とご家族に寄り添っていきたいと考えている。

「2年目に入り、ようやくスタートラインに立てたようだ。信頼を失わないように、しっかりと足元を固めていきたい」――日本一若い訪問看護ステーション所長・岩本はこう言った。

※次回は、利用者の紹介12、水曜配信予定です。

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