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【連載】日本一若い!? 訪問看護師の挑戦

第51回 インド治療最前線を探る

執筆 川添高志

ケアプロ株式会社・代表取締役社長

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2月にインドを視察した代表・川添。糖尿病患者が急増する一方で、医療が全ての人に等しく行き渡らない現状を目の当たりにした。今回はインドの病院事情についてご紹介しよう。


富裕層向けに進化するアーユルヴェード

インドの伝統医療といえば、日本でも知られている「アーユルヴェード」がある。基本的に、病気になったら各家庭で先祖伝来のアーユルヴェードで治療をしている。

最近では、都市部を中心に富裕層、高学歴層の30歳代のビジネスマン向けに、アーユルヴェードの病院が開設されている。すでに国内に約50か所の施設があり、増えているという。

これらの病院のアーユルヴェードは各家庭の先祖伝来のものとは少々異なり、モトローラ社の品質管理法を基に、アーユルヴェードの診断方法、調剤方法、生薬の品質管理、治療効果や費用対効果のエビデンスに応用。伝統医療と西洋の管理法を融合させた、いわゆる最新のアーユルヴェードなのである。日本のレベルとはまったく異なることも印象的だった。

またインドにはイギリスの植民地時代からの流れをくむ西洋医学も存在する。だが、わざわざ西洋医学にかかろうとする人は少なく、2割程度だという。その西洋医学の見学に、インド国内で展開する民間医療グループ「アポロホスピタルグループ」の、デリーの病院を訪れた。

豪華な病院vs貧弱な診療所

豪華な病院は見るからに富裕層の人々でごった返している。インド政府の後押しによる「医療ツーリズム」の外国人患者も多く見られる。国内需要だけでなく、周辺諸国からの患者を集め、インドの病院は今後いっそう国際競争力を持って加速していくだろう。

その背景には人件費が安いことにたどり着く。ベテラン医師の給与は月20万ルピー(約40万円)、看護師は月2万ルピー(約4万円)。看護師の給与は日本の10分の1程度とされるが、貨幣価値から考えると看護師の学校に通わせるだけの経済力のある中産階級の子女で、給与もそれなりの価値だと考えられる。

インドの看護師のスキルはなかなか優秀だ。私は血液検査(生化学検査28項目)を受けてみたが、採血にしても上手。ただし、スタッフ同士の私語が多く、帰属意識は皆無といえよう。よくいえばフランク、悪く言えば雑なのである。

もう一つ見学したのが、庶民向けの診療所だ。こちらはハード面は非常に古く、清潔ケアなどソフト面も疑問符だらけだ。医師・看護師は手洗いをしているのだろうか。注射器類はディスポーザブルタイプではなく滅菌が必要なものだが水洗い程度だと思われる。

私の大学時代に資料室に展示されていた、前時代的遺物のような注射針やシリンジが使われている! 薬は慢性的に不足気味で、手術や検査も満足に行うことができないのだ。

発展するインドにある医療は、やはり二極化が進んでいる。そのなかで多くの人々の健康を守るための予防医療の道はあるのだろうかと考えさせられた。

インドで3つのアーユルヴェードの病院を経営しているラジブ氏

インドで3つのアーユルヴェードの病院を経営しているラジブ氏