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【連載】日本一若い!? 訪問看護師の挑戦

第56回 訪問看護師への門戸を広げるために

執筆 川添高志

ケアプロ株式会社・代表取締役社長

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訪問看護の分野で新卒や新人を受け入れている事業所は日本全国でも数えるほどしかない。今年4月に新卒の小瀬が入職したケアプロは、そのわずかな事業所の一つだ。訪問看護を希望する新卒や新人が、その夢を叶えられるよう、ケアプロは困難に立ち向かっている。


「訪問看護師になりたい」夢を叶えよう

超高齢化が進む社会で、看取り難民が10年後には40万人にのぼるといわれ、現在訪問看護に携わる看護師約4万人では圧倒的に足りない。さらに2万人の訪問看護師を増やさない限り、看取り難民を救うことはできないといわれている。

一方、訪問看護師の多くは、訪問看護の経験豊富ないわゆるベテラン看護師だ。2万人の訪問看護師を増やすには、ベテラン看護師だけではなく、新卒やこれから新たに訪問看護に進もうとする新人の採用が急務だ。

実際、訪問看護を希望する看護学生は少なくない。しかし、全国の訪問看護事業所6500カ所のうち、新卒を採用しているのはわずか2%足らず。さまざまな壁が、訪問看護を希望する者の前に立ちはだかっているのだ。

訪問看護は基本的に独りで現場へ向かい、助けてくれる先輩看護師や医師のいない場所で看護を行わなければならない。しかも、病院などの医療施設で整備しているような教育プログラムは、ほぼ望めない。

教育プログラムを有する訪問看護事業所は全体の5%というデータもあるが、多くの管理者は多忙であり、多忙さを理由に人材育成に対する意識の低さがみられるなど、新卒・新人看護師を受け入れる体制は整っていないのだ。

訪問看護事業所へ教育にかかる補助金を!

経営上、新卒教育にかかる費用の負担は重い。病院などの医療施設であれば新卒を採用すれば、補助金が交付されるが、訪問看護事業にはそういった金銭的補助は一切ない。

たとえば、ケアプロでは今年4月に新卒・小瀬を採用した。試算すると、固定給や保険料、交通費、教育関連費用などを含めて毎月47~53万円かかり、1年間で約300万円くらいの赤字になる。つまり、新卒教育には1人当たり300万円は必要だということだ。

小瀬のケースで説明すると、4、5月はほぼ先輩看護師に付く同行訪問で、単独訪問は各1件ずつしかないから、月1万円の売り上げ。6月頃から単独訪問が徐々に増えると共に売り上げも増え、黒字化は9カ月後と想定している。

教育費用を含め、赤字を回収できるのは約1年半後。事業所を4~5人で切り盛りしている所では、負担が大きいことは明白だ。

そこで、訪問看護事業所への補助金交付の陳情のために、厚労省へ足繁く通っている。小瀬のケースで説明すると、趣旨は賛同してくれるものの、重い腰はなかなか上がらない。そこで訪問看護事業協会の協力を得て、訪問看護業界としても申請しようとしている。

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