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【連載】女性のがんのケア

第13回 手足症候群のケアのポイントは?

解説 春藤 紫乃(しゅんどう しの)

がん・感染症センター都立駒込病院 がん化学療法看護認定看護師

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乳がんの治療でよく使用される抗がん剤による手足や爪に、自覚症状を伴う障害が現れることがあります。今回は、手足や爪に現れる障害をどのようにケアをすればいいのかを解説します。


Q 乳がんによく使用する抗がん剤(5-FU®、ゼローダ®)による手足や爪に現れる手足症候群のケアのポイントは何ですか。

A 保清と保湿を中心に日常的にケアを続けることが大切です。

解説 手足症候群は手や足の皮膚や爪に自覚症状を伴って現れる障害

抗がん剤は、細胞分裂を活発に繰り返すがん細胞を攻撃するという特徴があるため、がん細胞だけでなく、細胞周期の速い骨髄や皮膚、毛髪、爪、粘膜にも影響を及ぼします。

そのなかで特に手や足の皮膚や爪に自覚症状を伴う障害が現れるものを手足症候群といいます。

乳がんでよく使用される5-FU(R)(フルオロウラシル)やゼローダ(R)(カペシタビン)は、手足症候群を起こしやすい抗がん剤です。発生のメカニズムは明らかになっていませんが、抗がん剤による皮膚基底細胞の増殖能力の阻害、汗腺からの薬剤の作用、圧迫を受けた毛細血管からの薬剤浸透などが原因ではないかと考えられています。

予防的ケアと早めの対処療法が大切

手足症候群では、ちょうど手袋や靴下を着ける部分の皮膚に、紅斑、ヒリヒリ感・チクチク感、知覚過敏(皮膚が敏感で脆弱になってくる、強い刺激が加わったり何もしなくても痛いなど)、皮膚の黒ずみ(特に関節部分)、皮膚の乾燥、指先の亀裂、爪の変色・変型(デコボコになる)などの症状が現れます。

それに伴い疼痛やびらんなどが起こり、重症化すると潰瘍や水泡、強い痛みのために歩きにくい・巧緻動作ができないなど日常生活に支障をきたします。抗がん剤投与後数日から数週間で症状が出てきます。

手足症候群の治療法は確立されていないため、使用薬剤によるリスクを把握し、症状の徴候に注意して、予防的なケアと早めに対処療法を行うことが大切です。

CTCAE(米国国立がん研究所による有害事象共通用語基準)のグレード3に判定されるような場合(疼痛を伴う高度の皮膚の変化[例:角層剥離、水疱、出血、浮腫、角質増殖症]、身の回りの日常生活動作の制限がある)には、抗がん剤を減量したり、投与の延期や中止をすることもあるので、なるべく重症化させないようケアすることが大切です。

最適な治療が継続できるよう、手足の状態に注意し、変化を感じたら報告してもらうなど患者さんに協力を依頼することも大切です。

予防のために患者さんにセルフケアのやり方を伝えておく

予防法としては、まずは清潔と保湿です。刺激の少ない洗浄剤を泡立てて、こすらずに手指や足の汚れを落とし、洗浄後はすぐにクリームなどで保湿します。

クリームは敏感肌用の刺激の少ないもので、患者さんが購入しやすい市販のものを勧めています。クリームを塗る場合は、クリームを手のひらにとって温めてから、擦り込まず包み込むように塗ります。

指の関節や爪にもクリームを充分に塗ります。手の場合には手洗いのたびに、足の場合は、入浴後を含めた1日2回以上行ってもらうよう説明します。

保湿後は可能な限り手袋、靴下を着け、睡眠中の着用も勧めます。入浴では、ゴシゴシ擦るなどの刺激を避け、湯温は40度以下の温めのお湯が好ましいです。

手足症候群での日常生活上の注意点

※次回は、抗がん剤による末梢神経障害について解説します。

(『ナース専科マガジン』2011年1月号より転載)

【抗がん剤の副作用ケアまとめ記事】
*【抗がん剤の副作用】がん化学療法とは?副作用の出現時期や症状別の看護