【連載】女性のがんのケア

第14回 タキサン系抗がん剤の副作用とは?

解説 春藤 紫乃(しゅんどう しの)

がん・感染症センター都立駒込病院 がん化学療法看護認定看護師

タキサン系抗がん剤は、末梢神経障害を起こしやすい代表的な抗がん剤として知られています。今回は末梢神経霜害のメカニズムと症状について解説します。


Q タキサン系抗がん剤による末梢神経障害(しびれ)について教えてください。

A 不可逆性が高いので悪化を防ぎ、二次的障害にも注意を払うようにします。

解説 単なるしびれから触れられると痛みを感じるまでに悪化する

パクリタキセルやドセタキセルなどのタキサン系抗がん剤は、乳がんや婦人科がんの治療によく用いられます。末梢神経障害を起こしやすい代表的な抗がん剤として知られ、そのほか、脱毛、アレルギー、むくみなどが有害事象して挙げられます。

末梢神経障害のメカニズムは、抗がん剤が神経細胞に存在する軸索に刺激を与えることで神経伝達に障害を及ぼすと考えられています。

単なるしびれから始まり、ピリピリした痛みを伴うしびれが生じ、手が震えて字が書けない、ボタンがかけられない、パソコンのミスタッチが多くなった、触れられた感じが鈍い、触られると痛いなどといった症状が出ます。

なかにはしびれとしてはっきりした症状を感じず、知覚鈍麻だけを訴える患者さんもいます。

また、症状が悪化すると運動性や感覚性も低下します。運動性の低下と同時に足の裏の感覚も鈍くなるので転倒しやすくなったり、感覚低下により低温やけどやけがに気付きにくいなど、二次的障害が生じることも少なくないため注意が必要です。

※続いては、患者さんに何を伝えるとよいかを解説します。

どんな徴候があるのかを具体的に伝える

症状の出現には個人差があり、重症度の判定には患者さんの自覚に頼る部分が多くなります。

患者さんには早めに感知して医師や看護師に伝えてもらうことが必要です。

感覚が鈍い、ピリピリ、チクチクといった感覚的なものや、ボタンがかけにくい、文字が震えて書きにくいなど、日常生活上で行えていたことが上手くできないという具体的な徴候を伝え、症状の出現や変化を患者さんが伝えられるよう支援することが重要です。

決定的な治療法がなく、重症化すると不可逆性が高まるため、薬剤の減量、休薬または中止を検討しなければなりません。

患者さんのなかには、しびれのために治療が中断されてしまうと思い、症状があってもあえて伝えない人もいます。

そのような場合は、患者さんとの何げない会話や動作から、症状を把握することも必要です。

例えば手指を盛んに擦り合わせる動作を繰り返している、手足をさする動作が多い、歩き方が以前と変わった(ゆっくり歩く、歩行時に顔をしかめている、手すりを頼りにして歩行する)など患者さんの動作を観察することも大切です。

セルフケアのやり方と家族への症状の説明を行う

症状の緩和方法としては、症状のある部分を温める、マッサージをする、お風呂に入ってもみほぐす、手指の運動などがあります。

しかし、いずれも無理をしないで行うことが大切であり、これらの緩和のためのケアも患者さんが苦痛に感じるものは逆効果です。症状の出ている部位を圧迫しないことも重要なので、きつい靴や靴下をはかないようにします。また、寒冷刺激も避けるようにします。

脱毛、嘔気などに比べ、家族など周りの人にも理解されにくい症状です。

そのために、患者さんだけでなく、家族にも神経障害についての説明が必要です。

その際は「不可逆的」という情報だけを提供するのではなく、治療が終了すれば時間を要しながら少しずつ良くなっていく可能性があると伝え、自分自身の症状をしっかりと観察し、しびれと上手く付き合っていく重要性を伝えていきます。

末梢神経障害(しびれ)に対する生活上の注意点

末梢神経障害(しびれ)に対する生活上の注意点

※次回は、リンパ浮腫の予防法と対処法について解説します。

(『ナース専科マガジン』2011年1月号より転載)

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