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【連載】エンゼルケアQ&A

第2回 【エンゼルケアQ&A】最近は綿つめを行わない?

監修 小林光恵

エンゼルメイク研究会 代表

Mitue

Kitoku gorinju

家族の意向に寄り添って最期のお別れの場面を創出する「エンゼルケア」が、多くの病院や施設で実践されるようになってきています。よりよい死後ケアにつなげるにはどうすればよいのか、よくある疑問・悩みについて、エンゼルメイク研究会代表:小林光恵さんに話を伺いました。

――最近は綿つめを行わないと聞きましたが、便や体液が漏れてきたりしないのでしょうか。

小林光恵さん(以下、敬称略) こちらはとても多く寄せられる質問です。 まず、肛門からの綿つめは必要ありません。これまでの調査の結果、綿はつめても栓の役割をしないということがわかりました。つめていても出るときは出てしまいます。

――そうなんですか……。

小林 死亡直前・直後などは便が出る場合が少なくないようですが、その後は、排便に必要な条件(排便に必要な反射や腸の蠕動運動)がそろわないので、基本的には便は出ないと考えられます。ただ、生前から出やすかった、あるいは腐敗が進んで内圧が高まったなどにより、死後も便が出る場合があります。
便が出る心配があるときは、肛門に紙オムツか紙パットなどを隙間なくあてておくといいでしょう。

――では、鼻や口の綿つめはどうでしょうか。

小林 鼻や口への綿つめも、体液の流出を防ぐ栓にはならないため、基本的には必要ありません。流出があった場合にタオルやティッシュで拭うなどの対応法をご家族に説明しておくことが大切です。

――でも、帰る途中などに口や鼻から血が流れ出て汚れてしまったということを聞いたことがあるのですが。

小林 エンゼルケア時にすでに鼻出血が生じている・ご帰宅の移送時に漏液の心配がある場合などには、綿は栓の役割は果たさないものの、多少の押さえとなることを期待してつめるという判断もよいのではないかと思います。なお、つめる際には、ご家族に了承を得てから行うか、事後承諾を得るのが望ましいです。

――ご家族にどう説明するかも重要ですね。

小林 いずれにしても、綿つめよりも、便漏れや漏液の元となりやすい腐敗を抑える冷却対応に注力すべきだと思います。
それと、現在は、一般にご遺体が変化することについての実感が持ちにくく、口や鼻からの漏液についても異常な変化だと考えるご家族もいらっしゃるようですから、本来、腐敗や漏液はご遺体の自然な変化の1つであることを文書などなんらかの形で伝えて「異常な変化ではない」と安心していただくことも大切です。

※本記事は、株式会社医学書院のWEBマガジン「かんかん!」の連載記事をもとに再構成したものです。

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