お気に入りに登録

【連載】基礎からわかる精神科看護

【精神看護】第2回 幻覚患者の看護とは

監修 医療法人財団青溪会 駒木野病院

精神科専門病院

D374d95049b72c086bb3dc28ad53211f

関連記事
第3回 妄想患者の看護とは
第4回 せん妄患者の看護とは
第5回 抑うつ感情の患者の看護とは

幻覚患者の看護とは

今回からは精神看護を行っていく中で必要な、各症状に合わせた看護方法を学んでいきます。
今回は幻覚症状がみられる患者への看護方法です。

幻覚の定義

幻覚とは実際にはない刺激を知覚する知覚障害であり、錯覚とは区別されます。
幻覚には幻聴、幻視、幻味、幻臭、体感幻覚などがあります。

幻覚は統合失調症、アルコール依存症、薬物依存症、器質性精神病、心因反応、躁鬱病などに見られますが、統合失調症で最も多くみられる症状です。

幻覚の種類

幻聴

幻覚の中でも幻聴は統合失調症で最も多く見られ、ほとんどが言語性の幻聴です。
その声は架空の人物、または実在する人物であり、聞こえ方も耳からの直接的なもの、頭の中や空から聞こえるものもあります。
内容は悪口、非難、禁止、命令などの深いで被害的なものが多いのが特徴です。

統合失調症の幻聴は必ず意識清明で現れ、患者自身にしか体験できないものであるため、看護職員には察知しにくいですが、幻聴のある患者はその声に反応し、笑う(空笑)、怒る、ぶつぶつと何かを話す(独語)、じっと聞き入る、うなずき、不快な声に耳をふさいだり耳にものを詰めるなどの行動がみられるため、これらの行動から患者の状態を把握することができます。

また、幻聴に左右され、自分自身を傷つけたり、(自傷)、他人を傷つけること(他傷)もありますが、看護職員の言動は理解しているため、安全を考慮し適切に対処します。

体感幻覚

幻聴のほかに自傷行為の危険が高いものには体感幻覚があります。

体感幻覚は統合失調症で幻聴の次に多く、脳、性器、さまざまな臓器、皮膚を対象とするグロテスクな不快感(脳みそをかき回される)などを感じる幻覚です。

患者はこの体験を恐怖に満ちた表情で訴えることが多く、中には恐怖による突然の大声だけでなく、不快感をなくすため、対象となる部位への自傷行為(割腹など)の危険もあるため、患者の言動には十分な観察と注意が必要です。

また、体感幻覚において客観的なデータをもとに幻覚を否定することは、看護職員への不信感につながりやすいため、避けた方が良いと考えられます。
しかし、実際に身体的異常を体感幻覚のように訴える患者もいるため、十分なデータとアセスメントに基づく判断が要求されます。

幻視

幻視はアルコール依存症(振戦せん妄)、老年期認知症などのせん妄状態に出現しやすく、多少の意識障害を伴っていることが多いです。

振戦せん妄

振戦せん妄では、小動物や虫が見え、それを取るような動作をすることがあります。

次ページは、幻味・幻臭について、観察ポイントと具体的なケア方法です