【連載】エンゼルケアQ&A

第6回 お尻の薬用洗浄剤で顔の汚れをとってもよい?

監修 小林光恵

「エンゼルメイク研究会」「看護に美容ケアをいかす会」代表


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 家族の意向に寄り添って最期のお別れの場面を創出する「エンゼルケア」が、多くの病院や施設で実践されるようになってきています。よりよい死後ケアにつなげるにはどうすればよいのか、よくある疑問・悩みについて、エンゼルメイク研究会代表:小林光恵さんに話を伺いました。

――ある上司から、お尻の薬用洗浄剤で拭くと顔の汚れがきれいに取れると教えてもらったのですが、この方法は有効でしょうか。

 小林光恵さん(以下、敬称略) お尻の薬用洗浄剤は、お尻を拭くものであって顔に使うものではないので、印象としてはあまりよくないですよね。

――ご家族のことを思うと気になってしまって。

 小林 みんながお尻に使うものを顔に使うというのは、いかにも家族に気づかれないからいいだろう、もう亡くなっているからいいだろう、と受け取られかねません。ご遺体を大切にする、というのはそういう気遣いの積み重ねです。

――シャンプーの際に、頭の下におむつを敷くと聞いたことがありますが。

 小林 2つの点から考えてみましょう。1つは、おむつは療養中もあちこちに使ったりしているという点です。お尻の薬用洗浄剤は、生きているときには洗顔には絶対に使わないですよね。いかにも死体だからいい、という印象を持ってしまいます。

――もう1点は?

 小林 成分、効果という点からみても疑問があります。確かに、肌を傷めない、油脂などもすごく取れやすいなどのメリットがあるのですが、お尻の汚れと違い、顔面の汚れは皮脂タンパクが中心なので汚れの質が違います。

――そうなんですか……。

 小林 また、泡かスプレーを濡れティッシュなどにつけて拭くという使い方のものが多いようですが、それで拭き取ることで肌を傷めるリスクが生じますし、マッサージもできません。

――やはりマッサージクリームで汚れを落とすように統一したほうがよいですか。

 小林 クリームは固形で顔の上にとどまりますし、おすすめはマッサージもできるものでクレンジングを行うことです。

――オイルクレンジングやメイク落としではだめですか。

 小林 その質問も多く聞かれますが、オイルクレンジングも肌にとどまらないので、マッサージができません。クリームによるクレンジングマッサージは、1回で汚れを落とせる上、お顔が穏やかになる効果もあるのでオススメしています。

――マッサージにはそんな効果もあるんですね。

 小林 ご遺体は、とても肌が傷みやすいです。皮膚は、生きているときはいろんな機能をはたすために弾力を保っていますが、循環が止まって水分補給がなくなり自力での保湿ができなくなると、すぐに乾燥し急激に衰えてしまいます。髭剃りの革皮様化もそのような変化が原因です。なるべく刺激の少ない方法でエンゼルケアをしてください。

※本記事は、株式会社医学書院のWEBマガジン「かんかん!」の連載記事をもとに再構成したものです。
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