【連載】基礎からわかる精神科看護

【精神看護】第5回 抑うつ感情の患者の看護とは

監修 医療法人財団青溪会 駒木野病院

精神科専門病院

関連記事
第3回 妄想患者の看護とは
第4回 せん妄患者の看護とは
第7回 拒絶的な患者の看護とは

抑うつ感情の患者の看護とは

抑うつ感情の定義

抑うつ感情とは、悲哀(病的なかなしい気分)、自責感情(自分で自分の過ちを責める感情)、自尊心の低下(自分の人格を尊重し品位を保つ心が低下すること)を特徴とする感情であり、その状態を抑うつ状態といいます。
これはしばしば喪失に関連して起こります。

抑うつ感情を引き起こす医学的診断として、内因性うつ病、統合失調症、神経症性抑うつ、内分泌疾患、膠原病(SLE)、脳卒中後抑うつがあります。

看護のポイント

抑うつ状態の患者は、精神症状として気分の憂鬱、おっくう、不安、焦燥を伴う。また、決断不能(小さな決断に迷う)、自責感情、希死念慮(消えてなくなりたい)、気分の日内変動(朝の覚醒時に気分が悪く、午後から夕方に向けて良くなる)がみられます。
そして、自分の周囲で起こることに対して悲観的に考えすぎ、自殺を企てることがあります。

患者は危険行為にい至る前に何らかの徴候を示す場合が多いため、その兆候を見逃さず患者の安全への配慮が必要となってきます。
身体症状では、睡眠障害(熟眠障害、早朝覚醒、覚醒時の抑うつ感、ときに過眠)、食欲不振、性欲減退、痛みに関する症状(頭痛、腰痛、背痛、肩こり)、便秘などが見られ、これらは抑うつ感情をさらに悪化させることにもなるため注意が必要です。

また、抑うつ感情に伴い、活動性の低下から、便秘などの身体症状、日常生活におけるセルフケア不足に陥りやすくなります。
したがって、精神的・身体的ケアとともに、日常生活行動におけるセルフケアへの支援が必要です。

観察のポイント

患者の反応として考えられる以下について十分な観察が必要です。

  1. 絶望感、無力感、孤独、怒りに関連した自傷の恐れ
  2. 睡眠障害
  3. 食欲不振、興味の欠如、病気にかなする心配に関連した栄養不足
  4. セルフケア不足
  5. 身体の安全性、自己概念に対する脅威の近くに関連した不安症状の有無・程度
  6. 食欲不振、経口摂取量の不足、活動性の低下、服薬に関連した慢性便秘
  7. 罪意識、無価値、心の傷に関連した自尊心の慢性的な低下

抑うつ感情の患者へのケアのポイント

【コミュニケーション】

小さめの声でゆっくりと、患者と同じペースで話します。
自傷・自殺についての患者の考えを聞く患者が安心して感情表現できる雰囲気を作りましょう。
つらい気持ちを受け止める励ましたりしかったりしないできる限りそばにいて安心感を与えましょう。

【睡眠の支援】

就寝前に安心して眠れるような声掛けをする生活リズムを整える工夫をします(睡眠、食事、散歩など)。
正確な与薬と、睡眠状況、薬物の効果を医師に報告します。
リラックスできる方法を説明しましょう(自律訓練法、瞑想、バイオフィードバック、イメージング、自己催眠法など)。
睡眠を促進するための工夫を伝えましょう。(就寝前に軽い読書や音楽を聴く、温かい飲物をとる、たばこやコーヒーなどの刺激物を避けるなど)

【食事の支援】

食事時間に患者のそばにいて援助するようにします。
患者の食べたいものがあれば、病院食以外に提供しても良いでしょう。
栄養強化ジュースや高蛋白の麦芽飲料などの飲用を工夫します。
可能であれば日中の軽い活動(散歩など)に誘うのも良い方法です。

【自立への支援】

自立を妨げないように配慮しながら不足している部分を介助するようにします。
衣類・洗面用具など日常で使用するものを手の届きやすい所に置きましょう。
できないことがあっても今は病気のため、やむをえないこと、できない部分は看護職員が支援していくことを説明するようにします。

【便秘解消への支援】

十分な水分摂取を促す腹部マッサージを行います。
可能であれば歩行、体動を促します。適切な薬物療法と排便状況を医師に報告します。
便意を感じた場合、いつでも排便するよう説明しましょう。
繊維を多く含む食物を摂取するよう説明します。
排便のメカニズムと便秘による危険性について説明をします。

以上のポイントに配慮することが、抑うつ感情の患者へは重要となります。

ページトップへ