【連載】基礎からわかる精神科看護

【精神看護】 最終回 認知症患者の看護の仕方

監修 医療法人財団青溪会 駒木野病院

精神科専門病院

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認知症の定義

認知症とは、一旦獲得された知能が、一次的、あるいは二次的に脳を障害する疾患によって、持続的に知能の低下を示す状態をいいます。
おもな症状としては、記憶の障害(短期記憶、長期記憶)見当識障害、理解力や判断力の低下などがあります。この結果、日常生活行動が自立できなくなります。

精神症状として、幻覚・妄想、睡眠障害、せん妄、抑うつ、不安・焦燥などがみられ、問題行動として、徘徊、攻撃・破壊行動、暴力、失禁、弄便などが見られることが多くあります。
また認知症には脳血管性認知症と、アルツハイマー型認知症があります。

看護のポイント

比較的症状が軽いときには、物取られ妄想などの思考過程の変調をきたすことがあります。

錯乱状態、問題解決能力の低下、不安に関連していることが多くあります。
錯乱状態、記憶障害(特に最近の記憶)などのために言語的コミュニケーションの障害をきたしやすいです。

環境に対する知覚の減退、不安定な歩行、判断力の低下、せん妄(特に夜間)、失見当識などに関連して、身体損傷のリスク状態であるといえます。
効果的なコミュニケーションができないことは当然、移動性の低下に関連して社会的孤立になりやすくなります。
また記憶や認知の障害のためにセルフケアンの不足や栄養状態の変調をきたしやすくなります。

家族の問題としては、ケア提供者の急速不足に関連してケア提供者役割葛藤が生じることがあります。

認知症の患者への看護ケア

妄想

話すときは患者の名前、看護職員の名前をいつも言うようにする。
そばにいて、温かく安心させるような言葉かけをする。低いトーンで簡単な言葉を使う。
言葉が理解できないときは、タッチで温かさを伝える。
幻覚・妄想のあるときは否定も肯定もせず、感情を受け止める。
興奮や攻撃的行動のあるときは、反論もせずに相手の注意をそらす。

コミュニケーションの障害

元気づける言葉や指示を繰り返す。
患者と目の高さを同じにして目を見て話す。
回想療法や音楽療法などに参加を促す。家族の写真を見せる。
患者と共に興味、関心のあることを探す。

身体損傷の恐れ

転倒しないように環境を整える。
トイレ段差のあるところは、十分な明るさを保つ。
ベッドは低いものにし、柵を挙げておく。ベッドの周りには危険なものを置かない。
トイレの場所を示すために、イラストや提灯など視覚に訴えるものを活用する。

孤立

優しくタッチする。
音楽療法、回想療法などグループ活動に参加を促す。
他の患者や家族との会話の仲介をする。

錯乱状態、セルフケアの不足

自立を損なわないよう注意しながら不足部分を補う。

栄養不足

食事接種能力に合わせてバランスの良い食事を提供する。
脱水を防ぐため、時間を決めて水分摂取を促す。
食事介助時に誤嚥に注意する。
ゆったりした雰囲気で食べられるよう環境を調整する。

家族の負担

家族の心配ごと、悩みを聞く。
受容的共感的態度で接する。

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