【連載】高齢者の機能低下をアセスメント

第7回 転倒・転落 在宅に向けての視点(いきいき転倒予防運動)

解説 吉崎順子

東京都健康長寿医療センター 救急外来次席

これまで、転倒・転落に関して、なぜ起こるのか?、どうアセスメントしたらよいのかやケアの仕方などを解説してきました。
最後に在宅に移行する際にどのような視点をもって考えればいいのかを解説します。


【目次】


個々の家庭環境に合わせたゴールを設定していますか?

入院時に家族構成やキーパーソンの存在を確認します。
そして患者さんの症状から寝たきりになりそうか、リハビリによりADLの回復が期待できるかなどを評価した上で、どのような状態であれば在宅での生活が可能かを家族に聞いていきます。
当センターでは、さらに患者さんがどのレベルまで回復可能かを医師、看護師、理学療法士などを交えて症例カンファレンスを行い、ゴールを設定しています。

身体状況に合わせた生活指導ができていますか?

転倒のリスクについては、まず患者さんの身体の状態を家族に理解してもらうために、実際に患者さんがリハビリを行っている様子を見てもらうようにします。

それによって患者さんがどの程度動けるか、ADLはどのレベルなのかを確認できるようになります。
次に、どのような場面で転倒を起こしやすいのかを説明し、転倒のリスクが高い場合は、たとえ室内であってもトイレには誰かが必ず付き添うこと、外出に際しても何か起こった場合に対応できるよう複数で出かけること、といった具体的な注意点について話をします。
入院前よりも身体機能やADLが低下していることもあるので、患者さんには日常生活のさまざまな場面に転倒のリスクがあります。
生活場面に応じた具体的な指導を行っていくことが、在宅支援での大きなポイントとなります。
また、デイサービスや訪問看護・介護などの社会資源に関しての情報を提供し、転倒リスクの問題がある場合には、在宅にかかわるケアマネジャーに対して看護師からサマリーを通じて情報提供をします。
必要に応じて担当のケアマネジャーや訪問看護師と、当センターの医師、看護師とで検討会を行い、退院調整をするようにしています。

いきいき転倒予防運動

転倒・転落は、身体機能を維持・向上することが主な予防策の一つとなります。
入院中の活動不足による筋力の低下や在宅での転倒・転落の発生を予防するため、当センターでは患者さんに「いきいき転倒予防運動」を勧めています。

運動前の注意点

医師の許可に基づいて、痛みが出ない範囲で運動を行うようにします(無理をしないで行うようにします)。
・1日1回、毎日を目標として続けます。
・すぐに効果が現れるものではないので、長く続けるようにします。

お尻の上げ下げ運動(大殿筋の運動)

(1)仰向けで膝を立てます。
(2)お尻を上向きに持ち上げます。そのまま3から5秒保ちます。
(3)お尻を下げます。
※5回繰り返して、慣れてきたら10回まで増やしていきます。

お尻の上げ下げ運動(大殿筋の運動)

片足を伸ばして、足を上げ下げする運動 (腸腰筋と大腿四頭筋の運動)

(1)仰向けに寝て、片側の膝を立てます。
(2)もう片側の膝をなるべく伸ばします。
(3)立てている膝の高さを目安に、足を持ち上げます。
※5回繰り返して、慣れてきたら10回まで増やしていきます。

片足を伸ばして、足を上げ下げする運動 (腸腰筋と大腿四頭筋の運動)

かかとの上げ下げ運動 (下腿三頭筋の運動)

(1)椅子の背もたれを持って立ちます。
(2)つま先立ちをし、身体を上げ下げします。
※バランスが悪い場合は、椅子に座ってかかとを上げ下げします。
※5回繰り返して、慣れてきたら10回まで増やしていきます。

かかとの上げ下げ運動 (下腿三頭筋の運動)

椅子から立ち座る運動 (大腿四頭筋と大殿筋の運動)

・椅子から立ち上がり、また座ります。
※椅子は安定したものを選び、必要な場合は、肘掛け付きの椅子を使います。
※5回繰り返して、慣れてきたら10回まで増やしていきます。

椅子から立ち座る運動 (大腿四頭筋と大殿筋の運動)

●足踏み運動

(1)ベッドの端や椅子などに腰掛け、片足ずつ足踏みをします。
(2)交互に足踏みを繰り返します。
※片足10回ずつ行い、慣れたら20回ずつまで増やしていきます。

足踏み運動

次回は麻痺・拘縮がどんな症状か、なぜ起こるのかを解説します。

(『ナース専科マガジン』2011年2月号より転載)

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