【連載】高齢者の機能低下をアセスメント

第9回 麻痺・拘縮の観察とアセスメント

解説 吉崎順子

東京都健康長寿医療センター 救急外来次席

麻痺・拘縮に伴ってさまざまな症状が引き起こされます。それを防ぐためにも、拘縮は早期に発見する必要があります。
今回はどんなところを観察すればよいのかを解説します。


拘縮は早期に予防、発見してリハビリにつなげる

麻痺や拘縮は、骨折や脱臼、褥瘡、肺血栓塞栓症といった二次的障害を引き起こすので、ADL評価によってどの程度動けるのかを評価し、二次的障害の発生リスクをアセスメントしていきます。
特に麻痺側は感覚がないため、体位変換などの際に麻痺した腕が身体の下に挟まっても、患者さん本人は気付かず、二次的障害を起こすこともあります。

また、移動時にどの部位を保護したらよいのかも重要になるので、どこに麻痺あるいは拘縮があるのかをきちんと確認することが大切です。

当センターでは、BADL(基本的日常生活動作)によりADL評価を行っており、排泄(排便、排尿)と、活動・運動(食事、排便、入浴、衣類着脱、身繕い、歩行・移動、起居・移乗)から評価しています。
麻痺や拘縮は、このADLがどのレベルかによって、介護に要する力が異なり、在宅療養にも大きく影響してきます。

そのため、食事は一人で食べることができるのか、セッティングをすれば食べることができるのか、あるいは全介助が必要なのか。
さらに、排泄はポータブルトイレを使えば自立できるのか、尿器での排泄ならできるのか、など細かく見ていくようにします。
そして、介入の必要性や介助の範囲を見極めていきます。

褥瘡や肺血栓塞栓症に注意する

また、麻痺や拘縮では患側の循環不全によって、褥瘡や肺血栓塞栓症のリスクが高くなります。
これらのリスクについては、特に注意する必要があります。
同時に、筋力低下により、体位のバランスが崩れても元の体勢に戻すことができないため、転倒・転落のリスクが高くなることにも注意が必要です。

当センターでは、入院時に転倒・転落、褥瘡、肺血栓塞栓症、栄養などの項目について十分な情報収集を行い、アセスメントし、それに基づいてケアプランを立案します。

立案したプランに関してはフローシートにチェックし、各勤務帯で観察していきます。
高齢者の場合、特に脳疾患の患者さんでは認知能力に問題があることが少なくないため、自分に麻痺や拘縮があることを認識することが難しく、患側の保護などができないケースもあります。
認知機能のアセスメントも注意したいポイントです。

褥瘡評価のポイント

褥瘡は一度発症すると完治までに時間を要するので、発生・悪化させないことが重要です。
そのためには、リスクの有無を適切にアセスメントすることが求められます。
ベッド上安静、ショック状態、重度の末梢循環障害、麻薬などの鎮静・鎮痛薬の持続的使用、6時間以上の手術、低栄養状態、強度の下痢の持続、極度の皮膚の脆弱、褥瘡の多発と再発、などがあてはまる場合は、褥瘡のリスクは非常に高いと考えます。日常的な危険因子は表の通りです。

褥瘡評価のポイント

肺血栓塞栓症のリスク評価のポイント

肺血栓塞栓症は発症すると重篤な状態に陥る危険性があるので、リスク要因を十分に把握してアセスメントしていくことが大切になります。
肺血栓塞栓症のリスクに関しては医師が評価をし、観察・評価の指示が出されます。
麻痺・拘縮がある患者さんは、それだけで高リスクとなるので、下肢疼痛や発赤、湿疹・かぶれ、足先の冷感・色調変化、足背動脈触知の有無、などに注意しながらアセスメントしていきます。

肺血栓塞栓症のリスク評価のポイント

次回は、麻痺・拘縮のケアと予防のポイントについて解説します。

(『ナース専科マガジン』2011年2月号より転載)

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