【連載】高齢者の機能低下をアセスメント

第11回 麻痺・拘縮-在宅に向けての視点

解説 吉崎順子

東京都健康長寿医療センター 救急外来次席

在宅に移行する際に、気を付けたいことを解説します。


患者さんの状態を把握し、意欲を高めるかかわりをしていますか?

在宅支援で最も大切なことは、患者さん本人はもちろんのこと、家族に患者さんがどのような状態にあるのかを理解してもらうことです。
麻痺・拘縮によるリスクをきちんと説明して、その対応策・リハビリについて指導していきます。
麻痺や拘縮は症状が改善する場合もありますが、改善するにしても長い時間を要します。

こうした状態では、患者さんの生活意欲が低下しがちで、それによってさらに廃用症候群が進行し、状態が悪化することもあります。
在宅療養では、まず患者さんの生活意欲を高めるためのかかわりが重要になります。

ADLと家庭環境に合わせた介助方法がわかっていますか?

生活意欲を高めるためには、患者さんのADLに応じた介助方法を指導することが大切です。
食事の形態をどのようにするのか、排泄はどのような形でなら可能か、などを具体的にアセスメントして、どのような支援が必要か、環境調整が必要か、を明確にし、その家庭環境で実施可能な方法を見つけるようにします。

また、褥瘡などのリスクも伝え、体位変換の方法などを具体的に指導します。

必要があれば自助具の活用を検討します。
ただし、患者さんの状態に合った福祉用具を選択しないと、逆に症状を悪化させることにもなるため、注意が必要です。

各種ラインの抜去にも注意!

麻痺・拘縮が生じている患者さんの場合、身体が思うようにならない不快感も手伝って、各種ラインの自己抜去が発生することは少なくありません。

特に、看護師が点滴などを患側の腕に刺入してしまったことで、患者さんに健側の手で針を抜かれてしまったということは、よく聞かれるトラブルです。
点滴等の際は、できるだけ、健側の腕を選ぶようにします。

また、抜去しにくいよう、しっかりと針やラインを固定することも大切です。
点滴などは健側を選びますが穿刺部位が無く、患側に入れざるを得ない場合は、健側の手で抜かれないように針やラインを固定したり、ラインを衣類の下を通すなどの工夫をします。
当センターでは、リスクマネジメント推進会議看護分科会により、マニュアルを整備し、各種ラインについて統一した管理を行っています。

また、夜間に点滴を抜かれてしまった場合、再挿入するのか、一時中止にしてよいのか、あらかじめ医師に確認し、「指示」として記載してもらうようにしています。
さらに不要なルート類は早めに抜去してもらったり、夜間の持続点滴を可能な限り最少にできるよう医師とも相談しています。

末梢静脈ラインの管理

末梢静脈ラインの固定法、観察項目、予期せぬ抜去時の対応について解説します。

固定法

  1. 留置針と延長チューブの接続部を、ドレッシング材(テガダーム(R))に付属の細いテープで留める。
  2. 接続部の上からドレッシング材を貼る。
  3. チューブをS字状にループを作って留める。

観察

患者さんの状態

  1. 不穏はないか
  2. 体位、体動に問題はないか
  3. 過度にラインを気にしていないか
  4. 刺入部の違和感、疼痛の訴えはないか
  5. 刺入部の皮膚に変化はないか
  6. 滲出や漏出はないか
  7. 滴下が設定通りか

固定の状態

  1. テープのはがれ、緩みはないか

ラインの状態

  1. ライン接続部に緩みがないか
  2. ラインの屈曲、閉塞はないか
  3. 患者さんの動きとラインの長さは適切か

予期せぬ抜去時の対応

末梢静脈ラインの抜去は、治療目的を達成しないばかりか、刺入部からの出血や注射液の漏れによる組織の損傷、壊死などの危険性がある。

  1. 刺入部(抜去部)の止血を確実に行う
  2. 皮下腫脹など薬液の皮下漏出の有無を観察するとともに、漏出薬液の種類を確認する
  3. 抗がん剤など組織壊死を生じる漏出薬液の場合は、速やかに医師に報告し指示を受ける
  4. ライン再確保について指示を受ける
  5. 周囲が血液・薬液で汚染されたときには速やかに清拭消毒する

次回からは、摂食・嚥下障害について解説します。

(『ナース専科マガジン』2011年2月号より転載)

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