【連載】急変を見逃さないためのフィジカルアセスメント

ショックの5Pとは?ショックの起きる原因と対処方法

ショックとは?

私たちが日常会話で用いる「ショック」とは、急に加わる強い打撃や心理的衝撃を示しています。
つまり、なんらかの事件や事故を見聞きした時、災害にあった時などに体験するのがこの「ショック」に当てはまります。

時々、ショック死という言葉を聞きますが、心理的衝撃によって生命が絶たれるというのは、生理学的に考えると、若干の相違があるような感じがします。
要は、なんらかの心理的衝撃によって生理学的な異変が起こり、その結果死亡につながったと考える方が、医学的には通用するということです。

このことを踏まえ、今回は「ショック」について考えてみたいと思います。
患者さんが状態変化を起こしている場合、なんらかの「ショック」が関係していることがあります。
例えば、術後の出血性ショック、心筋梗塞を起こした場合の心原性ショックなどがあります。

ショックの定義

生理学的にショックとは、以下のように定義されます。
ショック・・・急性全身性循環障害;
重要臓器や細胞の機能を維持するために、十分な酸素や栄養を供給するための
血液循環が得られなくなった結果、発生する種々の異常を伴った状態

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ショックの5Pとは?ショックの特徴的な身体変化

ショックの特徴的な身体変化は、ショックの5Pというものがあります。

・蒼白     (pallor)
・冷汗     (perspiration)
・虚脱     (prostration)
・脈拍不触  (pulselessness)
・ 呼吸不全  (pulmonary insufficiency)

ショックの分類と原因

ショックには、大きく分けて4つあります。これらは発生要因によって分類されています。

ショックの分類と原因

こういう状況に注意! 各ショックの起こりやすい状況例について

血液分布異常性ショック

尿道カテーテルを2週間以上挿入していると、多くの方は尿道カテーテル由来の感染症を起こすと言われています。

また中心静脈カテーテルも、数日間の使用でカテーテル由来の感染症を起こすと言われています。
動脈ラインに関しても同様です。
尿道カテーテル、中心静脈カテーテル、動脈ラインそれぞれ必要期間のみ短期間使用し、速やかに抜去することが望ましいことは言うまでもありません。

しかし、現状としては医師の判断が遅れ、感染徴候が出てから抜去するケースも多いことでしょう。
よって、看護師は毎日測定している、熱の微妙な変化や患者の行動変化に注意しておくことが、早期対応の一つとなります。

神経原生ショックは、多くは脊髄損傷などの急性期に起こります。
この時期は、大量ステロイド療法を行い身体の安静に努めます。
交感神経の異常によって、血圧の変動が大きくなりますので、バイタルサインをきめ細やかに測定し、異常の早期発見に努めます。

循環血液量減少性ショック

どのような術後でも、術直後には創部の観察を行います。
ガーゼなどの被覆材の上からでも良いですので、患者の訴えだけに頼らずに観察を行います。
また、腹腔内などの体内で起こっている出血は、自覚症状の出現も遅くなります。

脈拍が早くなっていないか、血圧が低下していないか、微妙な変化にも気遣うことが重要となります。
脱水は、入院患者には起こりにくいかもしれませんが、在宅や老健施設にいらっしゃる高齢者には発生しやすい現象です。

夏に限らず一日の水分摂取量を維持させることが、脱水予防になるとともに、尿路感染症による敗血症を防ぐことにもなります。

心外閉塞・拘束性ショック

重症肺塞栓症は、いわゆるエコノミー症候群と同様で、下腿に貯留した血栓が原因となることが多く、高度に肺動脈を閉塞することで、重症な場合には心停止に至ります。

長期臥床後の歩行時、脱水が続いている時には、細心の注意が必要です。
また予防法として、臥床中の下肢のフットポンプを維持しておくことがあり、下肢の屈曲運動も予防策となります。

各ショックの生理的反応

主たる生体反応によって大きく分類されていますが、その生体反応に至る原因は、それぞれ異なります。生理的反応の枠に記載した上から順に、そのショックに至る、主要因を示します。

各ショックの生理的反応

ショック時の看護ケア

ショックとは、定義にあるように「急性全身性循環障害」ですので、ショックに陥ってしまった場合は、循環の維持に努めるしかありません。血液分布異常性ショックや循環血液量減少性ショックの場合は、輸液の大量投与や適切な薬剤の投与を行います。

また心原生ショックや心外閉塞・拘束性ショックの場合は、輸液ではなく心機能を維持するための処置を行うことが主体となります。

ひとくちにショックといっても、原因によって対応がそれぞれ異なることを覚えておきましょう。
また、看護としてショックに陥る前に気付くことも重要です。
そのひとつには、バイタルサインの「微妙な変化」があります。
バイタルサインの大幅な変化は、既に急変しているわけですから、それ以前の「微妙な変化」をキャッチし細心の注意を払っておくことは、看護師にしかできない行動です。

また、エビデンスには欠けますが、筆者が最近経験している事象としては、食事摂取量の低下もポイントのようです。
経口摂取していた食事摂取量が低下した2~3日後に、急変している患者が数名存在しました。
食事摂取量は、看護師が一番良く目にしていることですので、ここにも注目すると急変する前に気付くことができるかもしれません。

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