【連載】不整脈のモニタリング

心電図波形の判読ポイント

解説 曽原 寛

葉山ハートセンター 不整脈センター部長

不整脈を診断する検査方法はいくつかあります。
そこで、患者さんに不整脈の疑いがあるかどうかを判断するために必要な、心電図の基本から不整脈の心電図までを解説しています。

心電図判読のポイント

心電図の波形のそれぞれの部分が、心臓の各部分を動かす電気信号の伝達状況に対応しています。そのため、おかしな波形が出現したら、その部分に対応する心臓の動きに異常がある可能性が考えられます。
波形の各部分の名称と、それが何を表しているのか、またその正常な波形の形と値とを把握して、不整脈の判別に役立てましょう。

心電図判読のポイントまとめ表

また、患者さんによって波形はそれぞれ異なります。心電図をつける機会があったら、普段の状態も把握して、異常時と比較できるようにするといいでしょう。

心電図判読のポイントまとめ表②

メモ:記録用紙の決まりごと

心電図の縦軸は電位を、横軸は時間を表しています。
例えば、横軸の1mmは0.04秒に、1分(60秒)は1,500mmに相当します。
波の大きさから電位を、波の幅から時間を計算するときに使うので、覚えておきましょう。

それぞれの波形と観察のポイント

P波とは?

洞結節から出た電気信号が心房全体に伝わる様子を表わす。
実際は右心房、左心房の順番に伝わっており、その合成波

観察のポイント

・P波の有無を確認する
・P波がない、またはQRS波に埋もれている場合は不整脈と判断できる
・P波がある場合は、向きとその高さ、幅に注目し、正常値と比較する

QRS波とは?

・房室結節に集まった電気信号が心室全体に伝わる様子を表わす
・Q波、R波、S波からなる
・Q波:心室の興奮が始まる地点。P波の次にある最初の下向きの波形
・R波:心室が最も収縮している地点。上向きの波形
・S波:心室の興奮が終わる地点。2度目以降の下向きの波

観察のポイント

・QRS波の高さ、向き、数に着目し、正常値と比較する

T波とは?

・興奮した心臓が元に戻る様子を表わす
・上向きの波形

観察のポイント

・T波の有無を確認する。ほかの波と重なっている場合もある
・向き、高さと幅を確認する。下向きは異常

U波とは?

・心臓の興奮が終わったときに生じる波形

観察のポイント

・形と大きさに着目する
・低カリウム血症では波が高いときがみられる

PQ間隔とは?

・房室結節、ヒス束を経て、電気信号が心房から心室へ伝わるまでの時間を表わす
・P波の始まりからQ波の始まりまでの時間

観察のポイント

・正常値の長さ[3~5mm(0.12~0.20秒)]と比較する

QT間隔(時間)とは?

・心室の興奮がはじまり収縮し、元に戻るまでの時間を表わす
・QRS波の始まりからT波の終わりの部分までの時間

観察のポイント

・補正QT時間(QTc時間)※を算出し、正常値(0.36~0.44秒)と比較する

ST部分とは?

・QRS波の終わりからT波の始まりの部分

観察のポイント

・ST部分の形と、基線の高さからの上昇・下降(変化のパターン)に着目する

心拍数(HR)とは?

・心臓が1分間に収縮する回数
・1分間に現れるQRS波の数ということから、下記の計算式から求められる
HR=1500(mm)÷RR間隔(mm)
※記録紙の1分(60秒)は1,500mm

観察のポイント

・心臓が動いているかどうかを示す値なので、必ず確認する
・心拍数から不整脈(徐脈・頻脈)を判断できる
※不整脈が出ると、心拍数=脈拍数ではなくなる

観察のポイント表

RR間隔とは?

・心拍が1回にかかる時間
・R波から次のR波までの間隔で、調律(リズム)ともいう

観察のポイント

・RR間隔の長さと、一定かどうかを確認する
・RR間隔が短すぎる・長すぎる、また一定でなければ不整脈と判断できる
・RR間隔が短いと頻脈、長いと徐脈

(「ナース専科マガジン」2010年1月号より転載)

次回はエラー心電図の種類と見分け方ついて解説します。
イラスト/横山テルミ

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