【連載】検査値をケアに活かす!

【胆管閉塞】メカニズムと検査値編

解説 小野寺 由美子

埼玉協同病院 副看護部長

監修 村上 純子

埼玉協同病院 臨床検査部 部長

臨床の現場で検査値を活用していくためには、疾患のメカニズムとのかかわりを念頭に置きながら読み取っていくことが大切です。

臓器の働きや疾患がどのようにして起こるかを確認し、検査値の動きと読み取るためのポイントを解説します。


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胆管閉塞のメカニズム

胆汁は、脂肪分解酵素のリパーゼの働きを助ける界面活性剤の働きを有する液体で、1日におよそ1000mL程度が肝臓で産生され、十二指腸ファーター乳頭から腸管内へ排出されます。

胆管閉塞は、胆汁を肝臓から十二指腸まで運ぶ胆管が、腫瘍や胆石などによって狭窄・閉塞した状態です。

胆管閉塞部位から逆行性に、肝臓内にうっ帯した胆汁中に含まれるビリルビンが血中に移行すると、黄疸が出現します。

総ビリルビンが3mg/dLを超えると、皮膚や眼球結膜の黄染が明らかになります。また、ビリルビンが組織に沈着すると全身に強い掻痒感を生じます。同時に褐色のビリルビン尿や、灰白色便がみられることもあります。

さらに、胆管で胆汁がうっ帯にすることで腸管内から逆行性に細菌感染を起こしやすくなり、胆管炎を発症する場合があります。

胆管周囲には血管が多い上、肝臓とつながっているので、敗血症に進むことも少なくありません。

敗血症からDICなどの重篤な合併症を引き起こし、ひいては多臓器不全に至る可能性があります。

また、胆管閉塞を放置すると、うっ帯した胆汁によって肝臓の細胞が硬くなり、肝硬変のような状態になります。胆管閉塞と直結するビリルビン値、ALP、γ-GTPに加えて、白血球やCRPといった炎症を示す検査値なども注意深くみていく必要があります。

続いては、「胆管閉塞を示す検査値」について解説します。

“膵疾患・胆道系疾患”で行う臨床検査

  1. 血液生化学検査
  2. 血液一般検査
  3. 便検査
  4. 画像検査(腹部エコー、CT、MRI)
  5. ERCP(内視鏡的逆行性胆道膵管造影)

胆管閉塞を示す検査値


UP

  1. ALP
  2. γ-GTP
  3. Bil(直接ビリルビン>間接ビリルビン)
  4. WBC
  5. CRP


DOWN

  1. PIVKA-2
  2. ビタミンK 依存性凝固因子活性(PT 延長)


所見

  1. 胆管の拡張像
  2. 閉塞部の腫瘤・結石

判断のカギ 誘導酵素「ALP」と「γ-GTP」

ALPとγ-GTPは、薬剤やアルコールの摂取によって酵素の産生が増加する「誘導酵素」です。

肝細胞以降の胆汁排泄に障害があるとほぼ並行して増加するこの2つは、特に胆道系酵素と呼ばれています。

ALPには胎盤、肝臓、小腸、骨由来のものがあり、アイソザイムを調べれば由来臓器がわかります。特に、肝臓由来の高分子ALPであるALP1の値が上昇しているときは、胆汁の流出障害を伴う疾患や肝炎、肝硬変などによって異常高値を示していると考えられます。

γ-GTPは、アルコール摂取によって高値を示すことが知られていますが、胆道系疾患でも高値を示します。γ-GTPは腎臓に多く含まれますが、逸脱酵素ではないので腎障害による上昇はありません。

これらの検査のほかに、肝臓で代謝されて胆汁へと排出される直接ビリルビンも、胆管閉塞によって血中へと流出します。

こうした値がすべて上昇していれば胆管閉塞が考えられます。

ビリルビンの上昇を伴わない、ALPとγ-GTPの上昇、あるいはγ-GTP単独上昇の場合は、胆管閉塞より肝臓がんの可能性が高くなります。

このようにいくつかの検査を組み合わせて考えることが大切です

次回は「DIC(播種性血管内凝固症候群)のメカニズムと検査値」について解説します。

(『ナース専科マガジン』2012年8月号から転載)

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