【連載】急がば学べ! 呼吸のしくみ

低酸素血症と高二酸化炭素血症の症状を見極めよう

解説 宮川哲夫

昭和大学大学院 保健医療学研究科 呼吸ケア領域 教授

低酸素血症には4つの原因がある

  1. 肺胞低換気:吸ったり吐いたりする力が弱まり、1分間に肺を出入りする空気の量が少なくなっている状態。高二酸化炭素血症を伴っているためPaCO2の値が高くなります
  2. 換気血流比不均等:臨床で一番多いとされる原因です。血流量が豊富な部分に換気量が少ない肺胞が多数存在しているため、そこに流れる静脈血が十分に酸素化されず、全体としてPaO2が低下することになります。 喘息発作や肺炎、肺水腫、COPD、気管支拡張症などで見られ、痰が詰まったとき、肺塞栓などで血管が詰まったとき、などに起こります。重力の影響により、座位の場合は下側肺に血流が多くなるなど、姿勢によって状態が変わります
  3. シャント:一部の肺胞でまったく換気が行われず、静脈血がそのまま流れていく状態。臨床では、痰が詰まることによる無気肺でよく見られます
  4. 拡散障害:一部の肺胞の肺胞毛細血管膜が厚くなったり、間質に水が溜まったりして、ガス交換ができなくなった状態です。主に、間質性肺炎や肺水腫で起こります

低酸素血症の症状をアセスメントしてPaO2を予測する

低酸素血症の症状には、呼吸困難、不穏、見当識障害、不整脈などがあり、さらに低酸素が進むと徐脈など重篤な症状が現れます。また、その症状からおおよそのPaO2値が予測できます(表1)。

慢性呼吸不全の場合には、症状が現れにくいので、労作時の呼吸困難の有無を多方面からチェックすることが重要です。

低酸素血症の主な症状

(表1)低酸素血症の主な症状

高二酸化炭素血症の症状と見極めも知っておこう

高二酸化炭素血症では、PaCO2の上昇の程度によって、発汗、傾眠、昏睡などの症状が現れます(表2)。PaCO2がもともと高い慢性呼吸不全の患者さんは、安定期の値と比べてどのくらい増えたかという見方が大切です。

また、日中、横隔膜をあまり使わずに、斜角筋や胸鎖乳突筋などの呼吸補助筋と呼ばれる筋肉を使って、努力呼吸をしているような患者さんは、睡眠時に高二酸化炭素血症になる可能性があります。

例えば、COPDによって肺の過膨張を起こしていたり、肺線維症で肺全体が縮んで硬くなっている患者さんなどです。

なぜなら、睡眠時の呼吸は主に横隔膜のみで行われます。そのため、呼吸補助筋で呼吸している患者さんは、換気が十分にできなくなってしまうのです。こうした患者さんは、CPAP(持続的気道陽圧法)やNPPV(非侵襲的陽圧換気療法)により、睡眠中の呼吸をサポートする必要があります。

睡眠時の低換気は見逃しやすいため、呼吸不全の患者さんには朝起きて頭痛がないかを確認するようにしましょう。朝に頭痛や頭重感があって、昼間には治っているような場合、睡眠時に低換気になっている可能性があります。

高二酸化炭素血症の主な症状

(表2)高二酸化炭素血症の主な症状

次回は「3大疾患でSpO2が低下するメカニズム」について解説します。

(『ナース専科マガジン2012年12月増刊号 一冊まるごと呼吸ケア』より転載)

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