• 公開日: 2014/1/8
  • 更新日: 2020/3/26

【連載】アメリカの医療・看護レポート

第5回 アメリカの看護師『申し送りはプレゼンテーション』のはなし

みなさんは、海外の看護師事情を覗いてみたいと思ったことはありませんか? 日本と海外の看護の違いに興味がある、海外で活躍する看護師をめざしたいという人は少なくないようです。そこで、自身の経験と調査をもとに、アメリカの医療や看護師に関するトピックをお伝えします!


申し送りに求められるスキルとは

今回は、申し送りのおはなしです。

アメリカでは、プレスクールから“Show and Tell”というプレゼンテーションとコミュニケーション能力を鍛える授業があります。アメリカでは、自分の意見を理解・納得させることは、社会人にとって必要不可欠な能力と考えられているからです。

そして今、この「自己表現の技術」は、医療現場でも求められています。

今回は、アメリカで推奨されている申し送りについて紹介します。
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ナースステーションからベッドサイドへ

アメリカでは、“申し送りは、患者さんの安全と継続看護に関連した重要なコミュニケーションだけでなく、患者さんとその家族へのアプローチの大切な機会である”とされ、「ベッドサイトでの申し送り」が推奨されています。

実際の申し送りは、以下のような手順で行われます。

  1. 患者さんのベッドサイドへ移動します。
  2. 申し送りは日勤・夜勤の部屋持ち看護師同士で行われ、患者さん・家族も医療チームの一員として参加します。
  3. 担当看護師が、患者さんや家族に次勤の看護師を紹介します。この時、握手で挨拶するのもアメリカらしい一面です。
  4. 担当看護師は、病名と入院経過、使用した薬剤など、皆にわかりやすく簡潔明瞭に伝えます。冗談や笑顔を交えながら、家族との会話のキャッチボールも忘れません。
  5. 担当看護師は、最後に必要なものや質問はないか確認し、申し送りを終えます。

日本では受け持ち患者さんの人数が多すぎてちょっと現実的ではありませんね。

でも、時代のニーズを反映する人気本ランキングなどでは、「聞き方」「物の言い方」「伝え方」など自己表現に関するタイトルが並んでいます。国内やグローバル社会の中でも注目されている「自己表現」の能力に、私たち日本の看護師も着目するときなのかもしれませんね。

次回は、「看護教育」のおはなしです。

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