【連載】CKD患者さんのケア

第3回 CKDのリスクファクターと進行と経過

編集 ナース専科編集部

月刊「ナース専科」編集部

腎臓にはどのような機能があり、どのような役割を果たしているのでしょうか。

ここでは、CKDを理解するのに欠かせない腎臓の解剖生理やメカニズム、CKDの経過とリスクなどの基礎知識を解説します。


主な原因

CKDは総体的な概念であることから、そこには多様な原疾患が存在します。

しかし、何らかの原因により腎機能が障害または低下した状態であり、腎機能を表すGFRがその進行を示します。

GFRの低下には糸球体障害が大きくかかわっています。

腎疾患のうち約90%が糸球体の異常、残りの10%が尿細管機能の異常によるものとされています。

主なリスクファクター

糸球体障害を引き起こす要因としては、健常人であっても、加齢による腎機能の低下が大きな原因となります。

ただし、これには個人差があり、年齢などで明確に区別することはできません。

そのほかの大きなリスクファクターとしては、高血圧症や糖尿病、高脂血症などの生活習慣病や、これらの生活習慣病と肥満が合併したメタボリックシンドロームが挙げられます。

また喫煙は、血圧上昇、酸素欠乏、動脈硬化などを招き、さらにタバコの煙に含まれるニコチンや一酸化炭素などが、GFRの低下を早める影響があると考えられています。

ほかに、CKDの家族歴、過去の健診における尿異常や腎機能異常および腎形態異常、高尿酸血症、NSAIDsなどの常用、急性腎不全の既往、膠原病、感染症、尿路結石などもリスクファクターとなります。

Nursing Point

健常な人でも加齢にともないリスクが高まる

健康な人でも加齢にともない腎機能が低下してくるため、年齢とともにCKDリスクが高まっていくことを忘れてはいけません。

そのため、定期的に健診を受けることがとても大切で、その結果にこれまでと違った検査データ等がみられたら、CKDのリスクになりうるかどうかを確認するようにしましょう。

CKD の進行過程

CKDは自覚症状に乏しく、微量のアルブミン尿やたんぱく尿などの尿異常から始まり、次第に腎機能が低下します。

これにともなって、高血圧や貧血、高カリウム血症、カルシウム・リン代謝異常などが出現してやがて腎不全に至ります。

貧血などの症状が出現するのは、CKDがかなり進行してからです。なかにはCKDの最終ステージまで気づかない人もいます。

ステージ1はGFR90mL/min/1.73m2以上、ステージ2では60~89とされており、尿たんぱくが出ます。

たんぱく尿は腎障害以前に出現するもので、CKDの早期診断のポイントになります。

血尿だけではたとえ腎疾患があっても、それほど悪くはなりませんが、たんぱく尿と血尿の両方がみられると将来進行することが考えられます。

このような尿異常の場合、「尿たんぱくが0.5g/gクレアチニン以上または2+以上」または「尿たんぱくと血尿がともに陽性(1+)」が専門医へ紹介するタイミングとなっており、尿異常のみであれば原疾患に応じた積極的な「攻めの治療」を行うことができます。

そのため、尿検査はCKDの早期発見・早期治療の重要な手掛かりとなり、経過観察のためにも必要です。

ステージ3以降になるとGFRは夜間何度もトイレに行ったり、血圧の上昇や貧血などの症状が出てきます。

こうなると、腎機能低下が生じていることになり、さらに進行していくと、高カリウム血症、カルシウム・リン代謝異常がみられるようになります。

腎機能低下(GFR 50mL/min/1.73m2未満)が始まると、原疾患を問わず腎機能維持を目指した総合的な治療「守りの治療」へと移行します。

最終的なステージ5では、老廃物や余分な水分がどんどん体内に溜まり、尿毒症症状が出現し、腎不全と判断され、透析治療の導入が検討されます。

このような進行の過程においては、高血圧による悪循環も生じます。

これは、腎機能障害によってレニンの分泌が増加することで起こるものですが、なぜ高血圧がもたらされるかというと、このレニンには血管を収縮して血圧を上げるホルモンであるアンジオテンシンIIを作る働きがあるためです。

CKDが進行するとこのレニンが徐々に増加し、高血圧となり(アンジオテンシンIIが増加し)、それが動脈硬化を進行させ、糸球体の毛細血管にも動脈硬化を起こし、ますます糸球体が壊れていくといった悪循環になるのです。

Nursing Point

尿たんぱくは生理的症状としても現れる

CKDを意識していると、尿たんぱくの出現には敏感になります。

しかし、尿中に少しでもたんぱくがみられたらイコール腎機能障害というわけではありません。

健康な人でも尿中にはわずかなたんぱくが出ており、運動した後や発熱後は1+程度になり、これを「生理的たんぱく尿」といいます。

これが2+になった場合、つまり1日に150mg以上持続的にたんぱくが排出される状態になったら、危険を知らせるサインとしての「たんぱく尿」として捉え、背景に腎疾患があると考えます。

CKDの最大の合併症「CVD」に注意

個別の腎疾患に伴う合併症はさまざまですが、CKD全般の合併症として最も注意したいのはCVD(心血管疾患)です。

具体的には、冠動脈疾患、脳血管疾患、末梢血管病、心不全などが挙げられます。

これまでは、末期腎不全の患者さんが透析治療という非生理的な治療を続けることによって、CVDを引き起こすと考えられていました。

しかし、米国での調査によって、透析導入以前のCKD患者さんが、透析を導入するよりも、CVDで死亡するリスクのほうが高いことが明らかになりました。

CKDによって体液の貯留や血圧上昇、炎症や交感神経機能亢進症といった内皮障害に発展すると、動脈硬化や貧血が促進、心血管の負荷につながってCVDの病態を悪化させます。

つまりCKDそのものがCVDの危険因子なのです。

そのため、降圧と尿たんぱくの減少などに向けたCKDの治療を行うことは、腎臓を保護するだけでなく、CVDの発症の抑制にもつながります。

次回は「尿たんぱくとeGFRに注目する」について解説します。

(『ナース専科マガジン』2010年2月号から転載)

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