【連載】NPPVのキホンとトラブル回避術

【NPPVのトラブル対応】患者さんが抑うつ状態になってしまったら?

解説 南雲秀子

湘南厚木病院 看護師長/米国呼吸療法士(RRT) / 保健医療学修士(MHSc) 日本呼吸ケアネットワーク 理事

NPPVでは、低酸素血症はもとより、そのメカニズムや構造上、エアリークやスキントラブル、粘膜の乾燥、腹部膨満など、特有のトラブルが存在します。

ここでは、トラブルの原因と対応のコツ、ケアのポイントを紹介します。


Q9 NPPV中の患者さんが抑うつ状態に!

A9 装着時間の短縮や中止を検討してみましょう

NPPVは通常、意識の鮮明な状態で実施するため、長時間マスクを装着していることによる圧迫感や閉塞感などが、精神的ストレスとなり、抑うつ状態を呈する患者さんがいます。

また、換気圧が高くなると患者さんは不快を感じやすく、これがストレスになる場合もあります。

特に高齢の患者さんなどでは、こうしたストレスから不穏を呈することも多いため、マスクを装着している間は、患者さんの状態をよく観察することが大切です。

時には医師と相談の上、装着時間の短縮や中止などを検討する必要もあります。

NPPVは本来、会話や食事ができることがメリットです。

このメリットを生かし、患者さんの話によく耳を傾け、訴えがある場合はストレス緩和に努めます。

ある患者さんの場合は、「新聞を読みたいのに、マスクがあるためにメガネがかけられない」ことがストレスとなっており、抑うつに陥っていました。

そこでメガネをかけられるマスクに変更したところ、マスクを受け入れられるようになり、精神状態も改善しました。

患者さんによっては、ストレスが抑うつに向かわず、マスクを拒絶する行動に向かう場合があります。特に急性期などで導入に失敗すれば、拒絶もあり得ますし、慢性期でも患者さん自身が“楽になった”という感覚を得られなければ、受け入れられません。

上手に導入できるか否かは、看護師の腕にかかっているといえます。

一方、高二酸化炭素血症や低酸素血症を呈すると、NPPV中に不穏を呈することがあります。

これらの場合、NPPVを中止し、迷わず気管内挿管に移行すべきでしょう。

NPPVは患者さんを鎮静(セデーション)してまで行う治療ではなく、誤嚥の可能性も生じて危険です。

「患者さんから、どうしても拒否された場合は、どうしますか」と、あらかじめ医師に確認しておくことや、患者さんや家族から、実施前に意向を聞いておくことが必要です。

続いては「普通のNPPVと睡眠時無呼吸症候群の人が使っているCPAPはどう違う?」について解説します。

Q10 普通のNPPVと睡眠時無呼吸症候群の人が使っているCPAPはどう違う?

A10 NPPVは吸気と呼気の圧が違い、CPAPは圧が常時一定です

急性期病院で使用するNPPVは、吸気と呼気の圧が違いますが、常時一定の圧をかけるようにする設定がCPAPで、急性期用の器材でも設定可能です。

ただし、睡眠時無呼吸症候群の患者さんが使用するCPAPは、自宅での利用を考えてコンパクトに設計されており、CPAPモードだけが使えるようになっています。

マスクはどちらも原則的には同じものが使用できますが、急性期には鼻と口を両方覆うマスクが必要であることが多いのに対し、睡眠時だけ使用するCPAPは鼻だけのマスクが一般的です。

何らかの疾患で入院してきた患者さんが、睡眠時無呼吸症候群の治療として自宅でCPAPを使用している場合には、入院中もCPAPを使用してもらうことが大切です。

器材を持ち込んでもらい、自分で設定してもらいましょう。

手術を受ける患者さんであれば、麻酔から覚醒する途中で無呼吸になることがあります。

執刀医だけでなく麻酔科医師にも情報が伝わるようにしてください。

NPPVのキホンとトラブル回避術は今回で連載終了です。

(『ナース専科マガジン2012年12月増刊号 一冊まるごと呼吸ケア』より転載)

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