【連載】基礎からまなぶ血液ガス

第2回 生体のメカニズムと血液ガス―腎機能

解説 飯野 靖彦(いいの やすひこ)

日本医科大学名誉教授

血液の中に含まれているガスには、酸素や二酸化炭素などがあります。
こうした血液ガスを分析することでいったい何がわかるのでしょうか。
まずは、体のしくみと血液ガスについて見ていきましょう。


不揮発性酸を排泄できるのは腎臓だけ

アミノ酸が結合してできている蛋白質は、窒素(N)、硫黄(S)、リン(P)などを含んでいるため、代謝時にNO42-、SO42-、HPO42-といった強酸(不揮発性酸)を生成します。

しかし、こうした強酸がそのまま血液に排出されると、血液のpHは酸性に大きく傾いてしまいます。そこで、腎臓が重炭酸イオン(HCO3-)を産生するとともに、これらの代謝産物を排泄してpHの調節を行います。

HCO3-は生成された不揮発性酸とほぼ同量が消費されるので、腎臓ではHCO3-を再吸収して補充しています。

HCO3-の再吸収と不揮発性酸の排泄は、腎臓でのみ行われます。

酸塩基平衡の調節のメカニズム説明図

酸塩基平衡の調節のメカニズム

H+を排泄して、HCO3-を体内でリサイクル

不揮発性酸が産生されると、電離してH+(酸)を放出しますが、すぐにHCO3-(塩基)と結合して、いったんCO2とH2Oの反応性の低い形になります。

しかし、最終的にはこのH+を体外に排出し、消費したHCO3-を元に戻して、体の恒常性を保たなければなりません。

腎動脈によって運ばれた血液は、腎小体に入り、蛋白質を除いた血漿が糸球体でろ過されて、原尿が作られます。

この原尿は尿細管へ運ばれ、H2OやNa+といった電解質などが吸収されます。ほとんどのH+は尿細管細胞内で産生されて尿中に分泌され、同時にできたHCO3-が血液中に戻ります。

つまり、結果的には尿細管細胞でHCO3-を再吸収する形になります。H+はアンモニウムイオンやリン酸イオンと結合し、NH4やH2PO4となって集合尿細管から腎盂へと移行し、尿中に排泄されます。

腎臓での酸排泄には尿の酸性化、滴定酸(リン酸イオン)排泄、アンモニウムイオン排泄の3つの方法がありますが、最も重要で大量にH+を排泄できるのは、このうちのアンモニウムイオン排泄です。

化学反応式

次回は、「緩衝のメカニズム」を解説します。

(『ナース専科マガジン2012年10月号』より転載)

ページトップへ