【連載】注射・輸液・採血のギモンに答える

注射薬の配合変化とその分類をおさらいしよう!

解説 渋谷 清

北里大学メディカルセンター 薬剤部 副部長

解説 小宮山貴子

北里大学メディカルセンター 薬剤部 部長

編集 ナース専科編集部

月刊「ナース専科」編集部

無数にある注射薬。配合変化に気をつけなければ、患者さんに健康被害を与えてしまう危険性があります。

今回は「注射薬の配合変化とは?」「配合変化の分類」などの基礎知識について復習しましょう。


注射薬の配合変化とは?

配合変化とは、2種類以上の注射薬を混合するときに起こる物理的・化学的変化のことです。

注射薬はもともと単独投与を想定して作られており、その安定性を維持するために、添加物(溶解剤・pH調整剤・安定化剤・防腐剤)が加えられているのですが、「主薬と主薬」「主薬と添加物」「添加物と添加物」の反応によって、配合変化が生じてます。

配合変化の分類

物理的変化

  1. 吸着 PVC(ポリ塩化ビニル)を含む輸液ラインに注射薬が付着する現象。ニトログリセンリンをはじめ、PVCフリー(PVC不使用)の輸液ラインを使用しなければならない注射薬があるので、添付文書や院内ルールを確認しましょう。
  2. 溶出 DEHPが溶け出す現象。PVCが使われている輸液ラインはそのままでは硬く曲げにくいため、DEHPという可塑剤を添加して、やわらかくしています。DEHPには生殖毒性が報告されており、DEHPフリー(DEHP不使用)の輸液ラインを使用しなければならない注射薬があるので、添付文書や院内ルールを確認しましょう。

化学的変化

アルカリ性と酸性の薬剤を混合すると、「酸-塩基反応」によって白濁・混濁・沈殿が生じます。

特にpH3.0以下の強酸性や、pH9~12付近の強アルカリ性の注射薬と混合する場合には注意が必要です。

■薬剤混合による配合変化の一例

配合変化一例

アルカリ性注射薬のネオフィリン®に酸性注射薬のビソルボン®を混注すると採取直後に白濁する

■配合変化による経時的外観変化の例

経時的外観変化の例

オメプラール®注用とヴィーン®3G(輸液)の混合による経時的外観変化。ヴィーン®3G(pH4.3~6.3)と混合後に、混合液のpHが酸性側に近づくため、褐変化(混濁)が生じる

pHは注射薬の添付文書内の「組成・性状」に書かれています。迷ったときには確認してみましょう。

また、配合変化が生じやすい注射薬一覧をすぐ確認できるよう準備しておくのもおすすめです。

続いて「配合変化が生じやすい注射薬一覧」を紹介します。

配合変化を起こしやすいおもなアルカリ性注射薬

配合変化を起こしやすいおもな酸性注射薬

その他、配合変化を引き起こす化学的要因には光分解・加水分解・酸化-還元反応があります。

配合変化は患者さんの健康被害に直結する問題

配合変化は、沈殿・白濁・混濁などの外観変化を起すと同時に、 主薬の含有量や力価(効果を示す量)が低下し、期待した効果が得られなくなります。

また、沈殿物がフィルターや輸液ラインに詰まったり、静脈炎や血管炎を引き起こす危険性もあります。

(『ナース専科マガジン2014年5月号』より改変利用)

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