1. トップ
  2. 看護記事
  3. 診療科から探す
  4. 呼吸器科
  5. 呼吸器科の看護技術
  6. 人工呼吸器
  7. 人工呼吸器の挿管・抜管
  8. 早期離床の目的・意義、方法、注意点~抜管に向けてのケア

【連載】これだけできれば大丈夫! 病棟で必要な人工呼吸ケア

早期離床の目的・意義、方法、注意点~抜管に向けてのケア

  • 公開日: 2014/5/24

人工呼吸器の装着が長期化すると、VAP(呼吸器関連肺炎)、呼吸筋力の低下、廃用性症候群、ストレスを生じ、患者さんに大きな不利益をもたらしてしまうため、挿管直後から早期抜管を意識して日々のケアをすることが必要です。
今回は早期抜管のためにできるケア「早期離床」について解説します。


【関連記事】
痰の吸引の条件やタイミングはこれで合ってる?
【人工呼吸器の換気量の設定】 「量規定換気(VC)」と「圧規定換気(PC)」の違い


早期離床の重要性

  1. ●肺胞換気の促進
  2. ●換気・血流比の改善
  3. ●体液分布の正常化
  4. ●廃用性症候群の予防

を期待できます。

 人工呼吸器を装着しているからといって安静にしているのではなく、積極的に取り組んでいく必要があります。

離床の進め方

  1. ●ベッドアップ(30~45°)
  2. ●端坐位
  3. ●立位
  4. ●車椅子に移乗
  5. ●ジャクソンリースを用いて歩行訓練

と段階を踏みながら行います。

 ベッドアップは24時間継続して行います。角度は30~45°が胃食道逆流や誤嚥のリスクを低減させると言われています。ベッドアップで問題がない場合は端坐位へ移行します。上肢がふらつくようであれば、そばで介助します。下肢をさげることで血圧が低下しやすくなるので、血圧チェックが必要です。

 立位ではめまいを感じる患者さんがいます。その場合は端坐位に戻り、足踏み訓練によって下肢の筋肉を鍛えてから再度、立位訓練を挑戦します。

 立位の状態が安定してきたら、車椅子上で日中30分~2時間ほど過ごし、離床時間を増やしていきます。

離床時の注意事項

  1. ●循環動態の安定を確認する
  2. ●気管チューブが抜けないように注意する
  3. ●中止基準を設ける(表1)

運動療法中の中止基準

表1 運動療法中の中止基準

(『ナース専科マガジン2014年6月号』より改変利用)

【関連記事】
ウィーニングとは?ウィーニングの方法や自発呼吸トライアル(SBT)など
【呼吸ケア・看護まとめ】呼吸の検査、評価・観察項目など
【抜管後の看護ケア】欠かせない4つの観察ポイント
異常呼吸音(副雑音)の種類とアセスメント
SpO2 100%であれば、安心なのか?
酸素解離曲線とは?酸素解離曲線に沿った看護ケア

この記事を読んでいる人におすすめ

カテゴリの新着記事

【動画】経口挿管の介助について知っておこう

経口挿管を行う際、看護師はどのような介助を行うとよいのでしょうか。 動画でどう動けばよいのかを確認しておきましょう。 挿管を開始する前に以下のようの物品を用意しておくとよいでしょう。 ①吸引チューブ ②挿管後チューブを固定するためのテープ ③ゴーグル

2017/9/14

アクセスランキング

1位

心電図でみる心室期外収縮(PVC・VPC)の波形・特徴と

心室期外収縮(PVC・VPC)の心電図の特徴と主な症状・治療などについて解説します。 この記事では、解説の際PVCで統一いたします。 【関連記事】 * 心電図で使う略語・用語...

250751
2位

【血液ガス】血液ガス分析とは?基準値や読み方について

血液ガス分析とは?血液ガスの主な基準値 血液ガス分析とは、血中に溶けている気体(酸素や二酸化炭素など)の量を調べる検査です。主に、PaO2、SaO2、PaCO2、HCO3-、pH, ...

249974
3位

人工呼吸器の看護|設定・モード・アラーム対応まとめ

みんなが苦手な人工呼吸器 多くの人が苦手という人工呼吸器。苦手といっても、仕組みがよくわからない人もいれば、換気モードがわからないという人などさまざまではないでしょうか。ここでは、人工呼...

250017
4位

吸引(口腔・鼻腔)の看護|気管吸引の目的、手順・方法、コ

*2022年12月8日改訂 *2022年6月7日改訂 *2020年3月23日改訂 *2017年8月15日改訂 *2016年11月18日改訂 ▼関連記事 気管切開とは? 気管切開...

250001
5位

SIRS(全身性炎症反応症候群)とは?基準は?

*この記事は2016年7月4日に更新しました。 SIRS(全身性炎症反応症候群)について解説します。 SIRS(全身性炎症反応症候群)とは? SIRS(全身性炎症反応...

250839
6位

採血|コツ、手順・方法、採血後の注意点(内出血、しびれ等

採血とは  採血には、シリンジで血液を採取した後に分注する方法と、針を刺した状態で真空採血管を使用する方法の2種類があります。 採血の準備と手順(シリンジ・真空採血管) 採血時に準備...

250858
7位

心電図の基礎知識、基準値(正常値)・異常値、主な異常波形

*2016年9月1日改訂 *2016年12月19日改訂 *2020年4月24日改訂 *2023年7月11日改訂 心電図の基礎知識 心電図とは  心臓には、自ら電気信...

250061
8位

サチュレーション(SpO2)とは? 基準値・意味は?低下

*2019年3月11日改訂 *2017年7月18日改訂 *2021年8月9日改訂 発熱、喘息、肺炎……etc.多くの患者さんが装着しているパルスオキシメータ。 その測定値である...

249818
9位

第2回 全身麻酔の看護|使用する薬剤の種類、方法、副作用

【関連記事】 *硬膜外麻酔(エピ)の穿刺部位と手順【マンガでわかる看護技術】 *術後痛のアセスメントとは|術後急性期の痛みの特徴とケア *第3回 局所浸潤麻酔|使用する薬剤の種類、実施方...

295949
10位

第2回 小児のバイタルサイン測定|意義・目的、測定方法、

バイタルサイン測定の意義  小児は成人と比べて生理機能が未熟で、外界からの刺激を受けやすく、バイタルサインは変動しやすい状態にあります。また、年齢が低いほど自分の症状や苦痛をうまく表現できません。そ...

309636