【連載】知っておきたい! がんのリハビリテーション

第3回 がんのリハビリが浸透していない現場でも、看護師ができることは?

解説 大野 綾

聖隷浜松病院 リハビリテーション科 主任医長

解説 番匠 千佳子

聖隷浜松病院 がんのリハビリテーションチーム 看護部次長 がん看護専門看護師

解説 上村 源

聖隷浜松病院 リハビリテーション部 作業療法室 係長

編集 ナース専科編集部

月刊「ナース専科」編集部

Q1 チーム医療として行う「がんのリハビリテーション」は、これまでの看護とどこか違いがあるのでしょうか?

A1 別のものと考えるのではなく、がん看護の延長線上にがんのリハビリがあるととらえてみてください。

がんのリハビリは特別なものではありません。

看護師とリハビリ療法士は活動の場こそ別ですが、どちらも「患者さんがよりよい生活を送ることができるように自立を支援する」という点は全く同じです。

これまで看護とリハビリで別々に行われていたことを融合させると考えてみるとよいかもしれません。

具体的にみていくと、がんのリハビリを担当するリハビリ療法士は、患者さんの損なわれた機能の回復、残存機能の維持・向上を目指して訓練を行い、車椅子での散歩など、終末期でも患者さんができることを見つけ出してQOLの向上を支援していきます。

一方、看護師は患者さんの移乗や食事など、生活の場のあらゆる場面で工夫をしています。病棟でのこうした看護も、実はQOL向上のためのリハビリの一環といえるのです。

当院は、がんのリハビリチームがスタートしたことで、リハビリ療法士と看護師の情報交換がより綿密になりました。

アドバイスを取り入れることで、例えば骨折などのリスクのある患者さんに対する介助などもスムーズに行えるようになってきています。

患者さんが一日の大半を過ごすのは病棟です。リハビリを1日の限られた時間だけに留めず、どうすれば病棟でも継続して効果的に行っていけるのか、患者さん一人ひとりの事例に沿って深く連携することががんのリハビリには大事なのだと思います。

Q2 がんのリハビリが浸透していない現場でも、看護師ができること・意識すべきことは?

A2 看護師だけで解決しようとせず、リハビリ療法士に相談しましょう。

普段から話しやすい関係性を築いておくことも大切です。

看護師の多くは勉強熱心であり、患者さんに対して「何とかしてあげたい!」と熱い思いをもつのは素晴らしいことです。

その美点は大切にしつつ、がんのリハビリに関してはまずリハビリ療法士などに相談することをお勧めします。

実際、私たちもがんのリハビリチームが機能し始めたことで、視野が広がったように思います。相談できる体制が確立されたことで、患者さんにより質の高いケアを提供できるようになったという実感もあります。

そのためにも、普段から顔の見える関係性を築き、いざというときは一緒に考えアドバイスをもらえるようにコミュニケーションを図っておくことが大切です。リハビリ療法士が常駐していない環境でも、うまく機会をとらえる工夫をしてみるとよいと思います。

相談の際は「こういう患者さんに対して○○をしています。もっとよいやり方はありますか」など、困っている点を具体的に話すとよいでしょう。

トイレ介助や、浴槽に患者さんをどう入れたらよいかわからない、片麻痺の患者さんの移動・移乗が難しいなど、療養生活のなかの具体的な疑問や不安をためらわずに質問してみてください。

リハビリ療法士も頼られることが励みになると聞きます。まずは一人の症例に一緒にかかわり、「うまくいく」という成功の体験が重要です。

(『ナース専科マガジン2010年9月号』より転載)

次回も引き続き、「がんのリハビリテーションQ&A」について解説します。

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