【連載】知っておきたい! がんのリハビリテーション

第4回 リハビリ意欲がない患者さんへの接し方(Q&A)

解説 番匠 千佳子

聖隷浜松病院 がんのリハビリテーションチーム 看護部次長 がん看護専門看護師

解説 上村 源

聖隷浜松病院 リハビリテーション部 作業療法室 係長

解説 大野 綾

聖隷浜松病院 リハビリテーション科 主任医長

編集 ナース専科編集部

月刊「ナース専科」編集部

Q1 リハビリに意欲のない患者さんにはどのように介入しているのですか?

A1 親身に向き合い、患者さんの望みを一緒に見つけるよう努めています。

その患者さんが意欲をもてない理由とは何でしょうか。リハビリに痛みが伴う、家族との関係性などに悩みがある、終末期でできることがどんどん失われていくなど、理由は患者さんによってさまざまです。すぐに解決できる原因ならばまずはその解消に努めますが、どうしても意欲的になれない、難しいと感じる患者さんもいるでしょう。

「○○がしたい」などの希望が見つかればそれが突破口となるのですが、「特にない」という方もいます。でも、誰にでも好きなことや得意だったことはあるはずです。できないことに悩むより視点を変えて、本人も自覚していない「好きなこと」を一緒に見つけられるようにアンテナを張ることが大切です。

ある患者さんの例ですが、自分の昔話を熱心に聞いてくれる看護師やリハビリ療法士と接するうちに「自分は大事にされている、尊重されている」と感じることができ、それをきっかけに気持ちに変化が現れたということがありました。

これをすれば必ず意欲がわくといったテクニックは残念ながらありません。患者さん自身に興味をもってその方の痛みや社会的背景などをみていく姿勢にこそ、リハビリの意欲につながる何かがあるといえそうです。

Q2 がんのリハビリはやはり身体的機能を重視した介入が中心と考えるべきですか?

A2 トータルに働きかけると考えるのが自然です。

がん患者さんは、トータルペイン=身体的苦痛・精神的苦痛・社会的苦痛・霊的苦痛(スピリチュアルペイン)をもつといわれます。がん患者さんのなかには、「なぜ自分が・・・」といった気持ちをもち、役割の喪失感や重複する障害などを抱える方が多くいます。

スピリチュアルペインのみに対し、ピンポイントでリハビリが処方されることはありません。しかし、歩行訓練を行いトイレ歩行が可能となる、家事動作を訓練に取り入れる、好きな落語を聞きにいくことを目標にする、などによって前向きになれた例はたくさんあります。

リハビリ自体は身体機能訓練かもしれませんが、付随的にその他の苦痛に対し、トータルに波及効果をもつこともあると考えるのが自然だと思います。

トータルペイン説明図

がん患者さんがもつ苦痛とは

(『ナース専科マガジン2010年9月号』より転載)

次回は「看護師に求められる役割5カ条」について解説します。

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