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【連載】施設ナース・すみれのつれづれ日記

第12回 私のおばあちゃん

執筆 はるのすみれ

看護師

編集 ナース専科編集部

月刊「ナース専科」編集部

2013 ns logo tate format rgb     03 min

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今回は、祖母の話とともに施設での看護のやりがいについて考えます。


私は入居者家族だった

私の祖母の終の棲家は定員9人の小さなグループホームだった。

産休開けのスタッフが生まれたばかりの赤ん坊と一緒に出勤していた。食堂にあるベビーベッドで赤ん坊が泣いていると入居者があやす、そんな家庭的な施設だった。

祖母は早くに夫を亡くし、戦後の混乱期に女手一つで子供たちを育てあげた。子供の私から見ても、父や母たちはそんな祖母をとても大切にしていた。だから、祖母が施設に入所するなんて、全く想定していなかった。

そんな祖母も、90歳が見えてきたころから認知症の症状が出て、自宅で暮らすことは難しくなってきた。

気持ちが救われた施設長のひとこと

グループホームに入所する時、入所の理由を誰も説明することができなかった。本人はちょっと泊まりに行くつもりで、その施設を訪れた。

その後帰れないことに気がついた祖母は「家に帰る」といって散々スタッフを困らせた。「このままじゃ退所になっちゃうかもしれないな」と心配した。

そんな私たちに施設長さんが「大丈夫ですよ。私たちに時間をください。ここが自分の居場所だって思ってもらえるようにお世話します」と後ろめたさをぬぐい切れずにいる私たちにそういってくれたのだ。

その言葉にウソはなく、「買い物に行きたい」という祖母を買い出しのワゴン車の助手席に乗せ、好きなものを買い物させてくれた。

祖母の昔話にも、耳を傾け根気よく聴いてくれた。「今までの人生は幸せだった」と思えるように寄り添ってくれたと思う。

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