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【連載】CKD患者さんのケア

第8回【CKD(慢性腎臓病)】透析導入期(ステージ5)の症状と治療

解説 小那木裕貴子

聖隷佐倉市民病院 透析センター CKD コーディネートナース

解説 筒井ゆかり

聖隷佐倉市民病院 透析センター CKD コーディネートナース

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透析導入の際には、患者さんへの精神的支援、セルフケアのサポートなど看護師に求められる役割は多岐にわたります。
ここでは、導入にあたってどのようなケアが必要となるのかを解説します。


スムーズな透析導入のための支援がポイント

ステージ5はGFRが15mL/min/1.73m2未満となった状態で、腎不全となります。

腎機能は高度に低下し、尿毒症や腎性貧血など腎機能低下にともなう合併症が出現することが多く、透析療法や腎移植などの腎代替療法を導入する時期になります。

ステージ4ぐらいから、腎代替療法に関しての説明を始め、ステージ5はそれが現実になってきます。

患者さんの精神的動揺が小さくないことを理解したうえで、透析療法の導入を進めていくことが大切です。

腎機能が低下しているので、食事療法はステージ4と同様に塩分は6g/day未満を保ち、たんぱく質制限を行います。
カリウムが高値の傾向があればカリウムの摂取量の制限も必要になります。
嘔気・嘔吐、倦怠感などの尿毒症症状がみられたら透析を導入することになりますが、尿毒症の症状がなくても、高カリウム血症や呼吸困難を来した場合は透析療法を導入します。

透析を導入するほど機能低下が進んでいる患者さんは、合併症のリスクがより高まるので、脳卒中、心筋梗塞、心不全の検査を行い、その傾向がみられたらそれらの治療も並行して行います。

腎代替療法の種類

CKDのステージが進むと、食事療法や薬物療法などを行っていても、腎機能は徐々に低下していき、腎不全に移行することは避けられません。

腎不全になると腎機能は著しく低下し、ほとんどその機能を果たすことができなくなり、腎代替療法が必要になります。腎代替療法には、透析療法と腎移植があります。

主にCKDステージ4・5が対象となり、ステージ4に入った患者さんに対しては、あらかじめ腎代替療法に移行する可能性、その療法について説明しておくことが重要になります。

透析療法

血液透析と腹膜透析があります。導入後2年ほどの生命予後に関しては、両者に大きな差はありませんが、透析期間が長期になるにつれて腹膜機能が低下し、被囊性腹膜硬化症のリスクが高まることから、7〜8年ほどで血液透析に切り替えることもあります。

いずれの透析方法を選択するかは、患者さんのライフスタイルやセルフマネジメント能力、地理的条件、透析施設の状況などに応じて、患者さんや家族に十分な説明をしたうえで選択していくことが重要になります。

腎移植

周術期管理の向上や免疫抑制剤の開発などによって2000年以降は、5年移植腎生着率が90%以上と非常に良好な成績を上げています。

特に、透析導入前に行う先行的腎移植については、透析導入後移植に比べて生着率や生存率も高くなっています。

2007年に実施された腎臓移植件数は、1224件で過去最高となっています。献腎移植数は減少しているものの、夫婦間など非血縁者間での移植が可能となったことで生体腎移植数が増加し、総数が増加しています。

腎移植にはドナーに対しての配慮・情報提供も重要で、移植実施には移植コーディネーターとの連携が欠かせません。

透析導入のタイミング

透析導入の時期・タイミングに関しては、1991年に設けられた透析導入基準(下表)をもとに、総合的に判断して導入が検討されます。

とはいえ、92年には血清クレアチニン値8mg/dL未満時の導入が20.8%だったのが、06年には48.8%と倍増していることもあるため、導入基準の見直しが必要とされています。

透析導入の目安表

表 透析導入の目安

ただ、こうした導入基準はあるものの、透析療法を導入するタイミングは医師によって異なります。
当院では、必ずしも検査データの数値にはとらわれず、一般的な尿毒症の症状が現れ始めたときが、導入のタイミングと考えています。

透析療法は患者さんの生活を制約してしまうため、精神的にも経済的にも負担は小さくありません。
それだけに、導入の動機づけが難しいのですが、何らかの症状が出現していれば、透析療法によって症状が改善されるので、導入を受容しやすくなります。

反対に、症状が出現する前に導入しても、その効果を実感できないので受容は難しいケースが多々みられます。
ですから、たとえ血清クレアチニン値が10mg/dLであっても、元気に日常生活を送れているのであれば、必ずしも透析治療を導入することはないと考えます。

また、透析導入直後には不均衡症候群を呈し、透析によって体調が悪化してしまったと感じる人もいるので、十分に配慮する必要があります。

※ 不均衡症候群とは

透析により急激に血中の尿素濃度が低くなることによって起こる頭痛などの症状のこと。
血中の尿素濃度が低下しても、脳脊髄液中の尿素濃度はすぐに低下しないので、血中と脳脊髄液中の濃度に不均衡が生じます。
この不均衡を解消するために、脳脊髄液中に水分が引き込まれ、脳圧亢進を招きます。それによって、頭痛、嘔気・嘔吐などの脳圧亢進症状が起こります。

不均衡症候群説明図

不均衡症候群

これまでは、尿毒症による合併症や栄養障害の予防のためには、早期導入が効果的だとする報告もありましたが、必ずしもその有効性が検証されていないこともあり、現在では腎移植の場合とは違って早期導入にメリットはないともいわれています。

ただし、糖尿病性腎症の場合には、虚血性心疾患のリスクがあり十分な水分管理が難しいため、基準よりも早い時期の導入も少なくないようです。

次ページは「透析の種類とメカニズム」について解説します。