【連載】高齢者ケアの「困った!」を解決!

高齢患者さんと接する上で、大事なことは何ですか?

解説 田中和子

筑波メディカルセンター病院 看護師長 老人看護専門看護師

Tanaka

Roujin family

高齢患者さんと接する上で、大事なことは何ですか?

「老人だから」という先入観をもたず、常に状況にあった伝え方をすることです。

説明しても理解してもらえなかったとき、「老人だから」という差別的な先入観が伝わらなかった理由になっていることがあるようです。

成人であれば相手の様子を見て、自分の話し方を振り返るのに対して、高齢者の場合は年をとっているだけで相手のせいになってしまうのです。看護師には、周囲の騒音、相手の感覚機能など、状況に合った話し方が本当にできていたか、常に振り返る姿勢が必要です。

また、「伝えたいことが伝わらない」のは患者さんも同じです。患者さんが自分のつらさを伝えられないという苦痛にもっと注目しましょう。

看護師は患者さんの眉間のしわ1つで「何かつらいのかもしれない」、あるいはどこか不自然な姿勢で座っているのを見て「何だか楽ではなさそうだ」と気づくことが大切です。細やかな安楽の提供が、精神的にも落ち着いて過ごしてもらえることにつながります。

高齢患者さんと円滑にコミュニケーションをするための言葉遣いは?

高齢者は人生の先輩「子どもに話かけるように」では傷つきます。

親しみやすさは大切ですが、「おじいちゃん」「おばあちゃん」と呼ぶのは、失礼です。言葉遣いには気をつけ、敬語を使うようにしましょう。

たとえ認知機能が低下していても、幼児に話しかけるような言い方は、高齢者の自尊心を奪う行為であることを知っておいてください。「子どもに対するような話し方が、高齢者にもわかりやすい」という考えは間違いです。

自尊心を傷つけない対応として、よく「~かもしれない」という言葉を使うことがあります。例えば、患者さんが違う病室に入ろうとしたり、服の着方を間違えたときなど、直接間違いを指摘したり、訂正するのではなく、「あら、○○さんは向こうのお部屋かもしれませんよ」と、こちらも考えているような間をとりながら、さりげなく言うと、あっさりと受け入れてもらえることが多いようです。

(『ナース専科マガジン』2013年2月号から改変利用)