お気に入りに登録

【連載】高齢者ケアの「困った!」を解決!

高齢者の睡眠障害|アセスメント・看護ケア

解説 三ヶ木聡子

筑波メディカルセンター病院 精神看護専門看護師

Suimin rem

睡眠障害は、加齢に伴う身体機能の低下だけでなく、環境適応能力の低下、治療薬の影響、せん妄などさまざまな要因によって引き起こされます。


【目次】

※「睡眠障害の種類」以下の閲覧はログイン(登録無料)が必要です。


睡眠障害かどうかをアセスメントする4つのポイント

1 患者さんが本当に眠れていないのか確認する

「患者さんは『眠れない』と言っているが、夜間ラウンドしたときはいびきをかいて寝ていた」など、看護師の観察と患者さんの訴えが一致しないことはよくあります。その場合は、まず睡眠状況を時系列で記録した「睡眠チェック表」を用いて確認するようにしましょう。

睡眠チェック表

睡眠チェック表

「眠れない」という訴えが強いと、看護師はつい「ずっと眠れていない」と思いがちですが、記録を取ることで、多角的に見れば寝られていそうだと判断することもできます。また、その表を患者さんに見せることで、「結構寝ていたんだ」と、安心してもらえるかもしれません。

逆に、睡眠には個人差がありますので、たとえ2時間ほどしか寝ていないように見えても、本人が「眠れた」と感じていれば、問題ないかもしれません。「眠れないけど、仕方ない」と、特に不満に思っていないときは、そのまま観察を続けてみましょう。

2 入院前の患者さんの生活パターン、睡眠状況を把握する

もともとの就寝時刻が23時ごろだった患者さんが、病院の消灯時刻(21時)に寝るのは、たとえ療養中とはいえ難しいことです。また、普段の睡眠時間が6時間ぐらいの患者さんの場合、仮に消灯時刻に眠れても、夜中の3時に目が覚めてしまうのは仕方がないといえるでしょう。

そこで、入院前の患者さんの睡眠状況や、日中の活動量などから生活パターンを知ることが大切です。患者さんが答えられない場合は家族に、一人暮らしであればケアマネジャーやヘルパーなどから情報を収集します。

3 眠れない原因を探る

精神的、身体的な問題がないかを確認し、眠れない原因を取り除きます。病気や将来などへの不安を抱えている人は、昼夜眠れていないことが多く、不眠が何日も続くことで体力が低下したり、何らかの身体症状が出現することもあります。

精神的にピリピリしていたり、眠れない状態が何日も続くようであれば、睡眠薬や抗不安薬を使うなどの対処が必要です。

一方、日中も寝てばかりいる患者さんは、単なる昼夜逆転ばかりでなく、どこか身体に変調をきたしていて、痛みや苦しさで夜間眠れないのかしれません。それらが十分にコントロールできているか、身体的な問題がないかを確認する必要があります。

日中どのように過ごしているのか、昼寝が長すぎないかなどを、看護師が客観的に評価することで、不眠の原因がわかることもあります。

また、看護師から細かく質問していくことで、患者さんも「そういえば……」と、眠れない原因に気づくことがあります。患者さんの反応を見ながら、問題点や対処が必要かどうかを判断していきましょう。

不眠の主な原因
不眠の主な原因

4 使用している薬剤の影響を考える

普段から眠れないという人は、すでに睡眠薬を飲んでいる可能性があるので、改めて聞いてみる必要があります。また、既往症の治療薬の中には、例えば、高血圧に用いられる中枢性交感神経抑制薬のように眠気を誘発する薬剤もあるので、持参薬は必ずチェックするようにします。

薬剤の中には、覚醒作用のあるものもあります。代表例として、ステロイド製剤は身体を興奮状態にさせる作用があり、主に日中に使われる薬です。ただし、睡眠に影響があるからといって、直ちに薬物治療をやめるわけにはいきません。夜に服用している場合には、その分を昼間に振り分けるなど、調整を考えることも大切です。

睡眠への影響がある薬物および化学物質

睡眠への影響がある薬物および化学物質

睡眠障害はせん妄の誘発因子として考えたほうがよい?

せん妄には、実にさまざまな誘因があり、入院する患者さんすべてに対してリスクがあるといってもよいくらいです。

特に高齢者は、脱水や電解質異常、術後のチューブ類の留置などに対する不安、術後の痛みなどで十分に睡眠が取れないことでも、せん妄を起こしやすくなるので注意が必要です。

睡眠時に関する徴候としては、寝ているように見えても眠れていない、何かに追いかけられているような嫌な夢や悪夢を見る、膀胱カテーテルが入っているのに何回もトイレに行こうとする、などです。

中でも夢は、せん妄のキーワードになるので、どんな内容だったかを聞いておくとよいでしょう。

睡眠障害の種類

睡眠は、もともとの生活スタイルの影響が大きく、睡眠時間や時間帯をもって一概に障害とは言い切れないところがあります。本人の訴えと観察をもとに、どのような睡眠状況にあるのか、多角的な判断が必要です。睡眠障害には、主に以下のようなものがあります。

>> 続きを読む