【連載】高齢者ケアの「困った!」を解決!

下痢のとき、 まずどうする?下痢しやすいおもな薬剤

解説 田中久美

筑波メディカルセンター病院 看護師長 老人看護専門看護師

解説 小野田里織

筑波メディカルセンター病院 看護係長 皮膚・排泄ケア認定看護師

A 原因によって対処が異なるので、原因を見極めます

下痢の主な原因には、以下4つがあります。

浸透圧性下痢:未消化の大量の食物等により腸壁から大量の水分が分泌する

②滲出性下痢:細菌やウイルスにより腸粘膜が炎症を起こす

分泌性下痢:難治性潰瘍などにより消化液の分泌が亢進する

腸管運動異常:腸管運動が亢進・低下する

②の場合は、原因となる毒素を早く排出させることが優先されるので、下痢を止めず、脱水に注意しながら、原因となる感染症等の治療を行います。発熱の有無、あるいは血液データ(CRP)によって確認します。

①、③、④のときは、下痢を止めることを考え、薬剤の使用や食事制限を行います。

下痢の場合、薬剤の影響も考慮しなければなりません。患者さんが投与されている薬剤に、抗菌薬がないか、消化管運動の亢進を促すような下痢の要因となる薬剤がないか、を確認します。

抗菌薬の持続投与が必要な患者さんについては、抗菌薬投与中でも効果のある耐性乳酸菌(ビオフェルミンRR)などの整腸剤を組み合わせて使用します。

また、緩下剤を漫然と継続投与してしまっていないかなども、見落としがちな検討ポイントです。栄養剤の滴下速度や成分などが原因の場合があるので、経管栄養の患者さんにも注意します。

下痢の場合、脱水への対応が重要です。必要時は速やかな点滴投与が行えるよう、日頃から水剤の使用期限と保管場所をチェックしておくことも必要です。刺激性の便や、拭き取りの頻度の増加により、肛門部周辺にスキントラブルも起こりがちになるので、皮膚の保護も行います。

下痢しやすいおもな薬剤

抗がん剤

  1. フルオロウラシル(5-FUR)
  2. テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合薬(ティーエスワン®)
  3. イリノテカン塩酸塩(トポテシン®)
  4. シスプラチン(ランダ®)

消化性潰瘍治療薬

  1. ミソプロストール(サイトテック®)[プロスタグランジン類]
  2. 酸化マグネシウム(酸化マグネシウム®)[マグネシウム含有製剤]
  3. 水酸化アルミニウムゲル・水酸化マグネシウム配合薬(マグテクト液®)[マグネシウム含有製剤]

血管拡張薬

  1. リマプロストアルファデクス(オパルモン®)[プロスタグランジン類]

制吐薬

  1. メトクロプラミド(プリンペラン®)
  2. ドンペリドン(ナウゼリン®)
  3. モサプリドクエン酸塩(ガスモチン®)

肝疾患治療薬

  1. ラクツロース

胆道疾患治療薬

  1. ウルソデオキシコール酸(ウルソ®)

抗菌薬

  1. 全般

(『ナース専科マガジン』2013年2月号から改変利用)

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