【連載】高齢者ケアの「困った!」を解決!

【排泄・スキンケア】嵌入便のケアなど6つのワザ

解説 田中久美

筑波メディカルセンター病院 看護師長 老人看護専門看護師

解説 小野田里織

筑波メディカルセンター病院 看護係長 皮膚・排泄ケア認定看護師

ワザ1 心理的影響が強い頻尿なら、安心感を与える!

頻尿の原因が失禁への不安である場合、その不安を軽減することが第一です。トイレまでの距離が心配なのであれば、ポータブルトイレを使ったり、トイレまで近い病室に変更するなど、移動時間をできるだけ短くすることで不安を軽減します。

一連の排泄行動に時間がかかってしまう場合は、排尿日誌から時間を決めてトイレに誘導します。時間的に余裕があるので、患者さんも安心できます。

ただし、脳血管障害など神経変性疾患が原因の切迫性尿失禁の場合は、周期的に多量の尿漏れが生じるので適しません。

過活動膀胱による切迫性尿失禁のときは、患者さんに理解力があり、訓練動作が行えるようであれば、膀胱訓練が有効です。膀胱容量を確認して、まだ余裕があることを理解してもらい、トイレに行く間隔を延ばしていくことで、膀胱の働きを改善します。

この際、尿取りパットなどを使って安心感を与えることも大切です。また、尿道括約筋が低下している腹圧性尿失禁には、骨盤低筋訓練を行います。

ワザ2 まずは非薬物療法でアプローチする!

下剤は、腸内細菌まで体外に排出したり、急激な腹痛を起こすので安易な使用は避けるようにします。

まずは、患者さんに自分なりの排便コントロール法があるかどうかを聞いて試してみます。そして、マッサージや温罨法、運動なども試みて、それでも改善がみられなければ下剤の使用を考えます。

ただし、直腸性の場合は、便塊が直腸まで下りているので、腸管に作用する下剤は効果がありません。むしろ嵌入便による便失禁を招くことになります。摘便や座薬を使用して便を排出するようにします。

良好なコントロールには、生活習慣や食事・運動状況の把握が欠かせません。病院の食事量が少なければ、治療に影響の出ない範囲で追加摂食が可能であることを伝えます。

また、発汗や浸出液がある場合は、水分量が減って便が硬くなるので、それらを考慮した上で水分摂取を促し、安静が過ぎないように体を動かしてもらいます。

ワザ3 乾燥肌のケアは、第一に保湿する!

乾燥に対するケアのポイントは、体内外からの水分補給につきます。内からの補給は、十分な栄養と水分摂取で、外からの補給は保湿剤で行います。

保湿クリームと洗浄剤

保湿クリームと洗浄剤

保湿クリームは手のひらで少し温め、透過性を高めるために皮膚の目(皮溝)に沿って塗ります。このとき、皮膚の上にクリームを置いていくような感じで塗り、強く擦り込まないことが大切です。皺のある部分は、皮膚を伸展させて塗るようにします。

患者さんがクリームのべたつき感を嫌がるときは、ローションに切り替えて塗布回数を増やします。あるいは、ローションの上からワセリンを少量重ね塗りすると、べたつき感が軽減されて保湿効果が高くなります。

真菌や白癬がある場合は、抗菌薬入りの石けんがあるので、それを使うと治療にもつながります。石けんを使う場合は、十分に泡立て、泡を転がすようにして洗浄します。

ワザ4 脆弱な皮膚は、決して擦らない!

高齢者の皮膚は脆弱であることを前提にケアを行います。石けんを使わずに、40℃くらいのお湯で濡らしたタオルで押し拭きをします。決して擦ってはいけません。

その後、保湿剤を塗ります。入浴できるようなときは、保湿剤入りの入浴剤を使えば、保湿剤の塗布が簡単になります。

留置針の固定など治療上でテープを使用する場合は、塗布した上からテープが貼れる保湿剤を塗るか、皮膜効果のある被膜剤を使用することで、皮膚へのダメージを小さくします。また剥がす際には、剥離剤を使うようにします。

ワザ5 おむつでかぶれる場合は、当て方にも注意する!

おむつかぶれの予防には、撥水クリームを使用することをおすすめします。また、排泄物による皮膚障害が改善しない場合には、亜鉛華単軟膏で保護することも効果的です。皮膚科の受診も検討します。

おむつかぶれは、おむつの当て方でも軽減することができます。尿の場合は、尿道口に密着させることが大切です。便のときは、おむつの両端のギャザー部分をきちんと立て、便をキャッチできる空洞を作るのがコツです。こうすることで、便を受け止めやすくなり、付着を減らすことができます。

おむつのギャザーの立て方

おむつのギャザーの立て方

(『ナース専科マガジン』2013年2月号から改変利用)

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