【連載】IN/OUTバランス わかるとこんなにイイコトが!

体液についておさらいしよう!

解説 澤野 宏隆

大阪府済生会千里病院 千里救命救急センター 救急部部長兼ICU室長

患者さんの状態把握を的確に行うためには、水分のIN/OUTを理解しているかどうかがカギになります。まずは、IN/OUTの基本となる「水・電解質」についてみていきましょう。


体液の役割は溶媒・運搬・体温調節

水は生命の維持に欠かせない、人体の最大の構成要素です。人体の水分組成は、年齢や性別で異なります。

一般的に水分含有量は年齢とともに減少します。新生児は80%小児で70%成人になると60%(女性は脂肪が多いため55%)とされており、高齢者では50%程度になります(図)。

年齢別人体の水分量と体液の構成比

図 年齢別人体の水分量と体液の構成比

生体における水の役割

  1. 溶媒:栄養や酸素、老廃物などの溶質を溶かし込むことによって、吸収や排泄を可能にする
  2. 運搬:溶質を体内の隅々に運ぶ。臓器から臓器へと血液に乗せてさまざまなものを運ぶことで、溶質どうしの化学反応も可能にする
  3. 体温調節:体温を一定に保つ働きをする。発熱で体温が上昇すると発汗し、体外に排出された水分が蒸発することによって体温を調節する
  4. 生理反応に関与:唾液や胃液、腸液などの分泌液としてさまざまな生理反応に関与する
  5. 潤滑剤:関節内や胸腔内などで潤滑剤として働く

体液と浸透圧

体液は、細胞内に存在する細胞内液と、細胞外に存在する細胞外液に分けられます。

人体における水分量60%中、細胞内液が40%を占め、細胞外液は20%とされています。すなわち、人体の水分のほとんどは、普段目にしない細胞内液なのです(前ページ図)。

細胞の内外は細胞膜という半透膜によって分けられており、等しい浸透圧でそれぞれの環境を一定に保っています。細胞膜は水や小さな溶質は通過できますが、電解質や粒子の大きなタンパク質などの物質は通過できないようになっています。

さらに細胞外液は、血漿と間質液に分けられます(前ページ図)。血液と間質液は血管壁によって分けられており、水分だけでなく、電解質などの分子量の小さな物質は自由に出入りできます。

そのため、間質液と血管内の血漿とは成分の組成がほぼ同じです。血漿浸透圧は体内のどの箇所でも同じになっていることから、血漿浸透圧を測定すれば、体液の濃縮・希釈の状態を知ることができます。浸透圧の正常値は280~290mOsm/kgであり、人体は浸透圧を狭い範囲内にコントロールしています。

(『ナース専科マガジン』2014年8月号から改変引用)

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